3100821 グラム 変化と恐怖
朝が来た
ふわぁ～… と、あくびをしながら 起きてくるマスター
【グラム】
あ、マスター
おはよう
…と、軒先には 一人の姫が立っていた
早起きだね？なにしてたの？ とマスターが尋ねる
【グラム】
ああ、朝日を見ていた
【グラム】
こんなに早起きしたんだ、
きっとなにか特別なことが
起きるに違いない…
【グラム】
あ、いや…今の発言は撤回しよう
私達に必要なのは何より平穏だ
彼女の名はグラム
聖鎖された天使 フレイの影響もあり、 現状維持を優先する性格
それが原因で、 常に前向きなマスターとは 少し距離が出来ていた
例えば…
【グラム】
え？この店でランチを？
【グラム】
街の女性に大人気なのか…
なにか理由があるのだろうな
試してみるのも悪くはない
【グラム】
あ、いや…
【グラム】
今の発言は撤回しよう
いつもの店でいいよ
【グラム】
新しい店に行って、
もし美味しくなかったら
いやだしな
マスターが 新しい店を見つけても 入らない
【グラム】
え？新メニュー？
【グラム】
いや、私はいつものでいい
【グラム】
もし口に合わなかったら、
どうするんだ？
一食、損した気分になるだろ
いつもの店に行っても、 冒険はしない
色々心配するのも分かるけど、 チャレンジしてみるのも楽しいよ …と、彼女に告げるマスター
だが、グラムは…
【グラム】
発展や進歩は、
波乱を呼び込む恐れがある
【グラム】
安寧のためには…
今を保つのがいいんだ
そう答え、 いつものメニューを 口に運ぶのだった
そして彼女の現状を維持する性格は、 戦場において顕著に現れた
【グラム】
新しい陣形…？
とある戦闘にて、 マスターは新たな陣を提案
だが…
【グラム】
これまで勝利を重ねてきた陣形を
変えることによって、
みんなに危険が及ぶかも知れない
【グラム】
私は反対だ
彼女はいつも通りの 布陣で臨もうと主張した
しかしマスターは、 上手くいけば、今後の戦闘の 可能性が広がるんだ…と彼女を説得
【グラム】
……
【グラム】
マスターが何と言おうと、
私は賛同しかねる
【グラム】
どうしても布陣を変えると
言うのなら…
私は参戦できない
そう言い残し、どこかへと 行ってしまうのだった
結果、新たな陣形で 臨むことは叶わず、
これまでの通りの戦法で 勝利したマスターの隊
だがマスターは、 彼女のことが気に掛かり、 後を追った
【グラム】
………
しばらく行くと、 彼女は木陰で一人 寂しそうに座っていた
やぁ…と、 声を掛けるマスター
【グラム】
！
【グラム】
マスター
君の言った通りだったかも、 今までの陣形で勝利できたよ …と彼女に告げる
【グラム】
………うん
マスターの言葉に対し、 彼女が自分の意見を返す
【グラム】
変化は…悪いことじゃない
でも、変化に適応するには…
それに見合った能力が必要なんだ
その言葉に対し、 マスターが応える
それに“勇気”もね …と
【グラム】
！
君は時々、前向きな発言をする… すぐに否定しちゃうけど …と、マスター
【グラム】
そ、それは…
君の中に勇気がないわけじゃ ないと思うんだ マスターが更に言葉を紡ぐ
教えてよ…君がどうして、 そこまで変化を嫌うのか？ マスターの真剣な目に彼女は……
【グラム】
………
【グラム】
それを語ることで、
マスターとの関係性が変わるのも
好ましくはないが…
【グラム】
これ以上、
主に心配を掛けるのは
もっと良くないと判断した
【グラム】
言うよ、私が変化を嫌う理由を…
彼女が己の過去を話し始めたのだった
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