310201211 美樹 さやか 代理のパーティー
【さやか】
いや～
なんか変なことになっちゃったね…
そう言ってさやかはぎこちなく笑う
【さやか】
やっぱ私にこういう服は
似合わないと思うんだけど…
似合ってると思うけれど とマスター
【さやか】
すぐそうやって
気のいいこと言うんだから～
そう言うと 今度は照れ臭そうに笑うさやか
【さやか】
そういうあんたも、
結構似合ってるよ
マスターとさやかが かしこまった服装で街を歩いている その訳は数時間前にさかのぼる…
【さやか】
まぁまぁ
とりあえず落ち着きなよ、ね？
通りがかった街で 言い合いをしている男女と出会い 思わず仲裁に入ったマスター達
ふたりは兄妹だと言うが 些細なことから喧嘩を してしまったのだという
【さやか】
妹ちゃんのほうもさ
少しくらいお兄さんの話を
聞いてあげてもいいんじゃない？
【さやか】
お呼ばれした大事なパーティーに
行かなくちゃいけないんでしょ？
だが、喧嘩のことが原因なのか 妹のほうがどうしても行きたくない と言って聞かないらしい…
【さやか】
だから、ふたりでもう少し
よく話し合って…あっ！
いつまでも平行線の 話し合いにしびれを切らしたのか 妹が走り去ってしまう
【さやか】
わわっ、どうしよう！
兄のほうを見ると 彼もまた困惑した表情をしていた
【さやか】
お家のことに関わる大事な
パーティーと妹さん
どちらを取るかなんて選べないよね…
親を亡くし、なんとかふたりで 守ってきた家と土地に関する用事が そのパーティーにはあるらしい
【さやか】
この世界のことはわかんないけど
いろいろと難しそうだもんね…
だが、妹のことも放っておけないと 兄はマスター達にお願いを言ってくる
【さやか】
わ、私達がとりあえず
代わりにパーティーに出る！？
妹を連れてきて あとで入れ替わればいい そう考えているらしい
幸い、マスターとさやかは 背格好が兄妹に似ているので たぶん、バレないとのこと
【さやか】
無理無理！
パーティーとかドレスとか
私そういうのガラじゃないし！
さやかの反応に肩を落とす兄 マスターはどうにかならないかと さやかを説得する
【さやか】
うっ…
困ってる人を放っておけないのは
たしかだけど…けど…
【さやか】
ええい！わかった！
このさやかちゃんに任せなさい！
【さやか】
勢いでああ言っちゃったけど
本当に大丈夫かな…
バレたりしないよね？
直接の知り合いはいないと 言っていたから大丈夫では？ とマスター
【さやか】
妙なとこで楽観的というか
肝が据わってるというか…
【さやか】
はぁ…人助けだし
いつまでもうじうじ言ってたら
だめだよね、よし！
【さやか】
お迎え…にしてはちょっと
物々しい雰囲気だね？
【兵士】 お前達の服… ふむ、特徴と一致する
【さやか】
え、何！？
【兵士】 大人しくついてくれば ここで事を荒立てはしない！
【さやか】
いやいや！
なんの説明も無しに
はいそうですかってならないよ！
【兵士】 抵抗するというのか！ こいつらを捕えろ！
【さやか】
ああもう話になんないし！
仕方ない、やるっきゃないよね！
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