310231211 アスカロン・D. plug・レヴィアタン 憂う瞳の見るものは
【アスカロン】 平和の礎を築いてみせますっ!
【アスカロン】 はぁっ!
マスターの隊に新しく入った姫、 アスカロン
戦場を駆け抜け、 とてつもない力で 敵を駆逐していく
それもそのはず、 かつて彼女はケイオスリオンの 斬ル姫の中でも名高い…
『カルマキラーズ』の一人だった
【アスカロン】 …ふぅ 討伐完了
【アスカロン】 みなさん、ご無事でしたか?
【アスカロン】 今日も素晴らしい勝利でしたね!
元カルマキラーズにもかかわらず、 偉そうなところも、怖いところもない
むしろ実力も高く、 がんばり屋さんな性格なので、 隊の中で高い信頼を得ていた
それは戦闘面だけにとどまらず…
【アスカロン】 はいっ!今日は私が食事当番です おいしい料理を作れるよう、 がんばります!
【アスカロン】 明日のお掃除当番はお任せください! 部屋中、ピカピカにしますから!
日々の食事や掃除、どんな雑務も がんばってやってくれるため、 その信頼はさらに大きくなっていた
僕も手伝うよ、と マスターが彼女に声を掛ける
【アスカロン】 あ、マスター、そんな…! マスターは当番じゃないのに
いいから、いいから と笑顔で答えるマスター
『じゃあマスター、これもお願~い』 と甘え、用事を頼んでくる姫たち
【アスカロン】 ………
マスターと姫たちの様子を見ながら、 彼女が心の中でつぶやく
【アスカロン】 マスターはみんなの 召使いじゃないのに…
【アスカロン】 ここに来たばかりの頃は、 そう思ってたけど…
【アスカロン】 でも、そうじゃなかった
【アスカロン】 あれは…信頼の裏返し
【アスカロン】 みんな…マスターが大好きなんだ 大好きで信頼しきっているから、 自由にわがままを言えるんだ
【アスカロン】 マスターという みんなを統括する立場にありながら、 あんなにも好かれるだなんて……
…と、そこまでは 微笑ましく見ていた彼女が、 突然暗い瞳を落とし呟く
【アスカロン】 ………羨ましい
え?なんか言った? と聞き返すマスター
【アスカロン】 …! い、いえ…! な、なにも…!
そ?いつも色々と 仕事を引き受けてくれて、 ありがとうね
【アスカロン】 い、いえ、そんな…!
でも、無理はし過ぎないでね …と、マスターが彼女に微笑む
【アスカロン】 …え?
みんな、きみが優しいから つい頼っちゃうけど、 辛い時は断わっていいからね
【アスカロン】 ………
【アスカロン】 は、はい……
複雑な表情でうなずくアスカロン
人のために頑張り過ぎる “自己犠牲の精神”を持つ彼女を、 マスターは少なからず心配していた
そんなある日…
【アスカロン】 あ、あの…! マスター
【アスカロン】 町で、小さなお祭りが あるみたいなんです
【アスカロン】 よかったら… 一緒に行きませんか…?
珍しく彼女の方から 誘ってくれたことに喜ぶマスター
2人で町へと出てゆく
【アスカロン】 …………
しかしマスターは、 彼女の瞳に憂いがあることに この時 気づいていなかった…
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