310407214 モラルタ 協奏歌劇・収穫
双子に無理やりせがまれ、 一行は再び奴隷区へやって来た
片づけはもうすべて終わっており、 無論ハロウィンの跡形などはない
静かな街並を見て 残念そうな声を出すモラルタとベガルタ
【モラルタ】 ハロウィンのお祭り、 あんなに楽しかったのにね
【ベガルタ】 人もたくさんで、 賑やかだったのにね
【モラルタ・ベガルタ】 つまんないね~?
【モラルタ】 ねぇ、ベガルタ いい考えがあるんだけど
【ベガルタ】 ねぇ、モラルタ 私もいい考えがあるよ
殺気を抑えようともせず、武器を 構える二人を、必死で止めるマスター
【モラルタ】 どうして止めるの?
【ベガルタ】 どうして止めるの?
【モラルタ・ベガルタ】 楽しいことができないなんて 絶対おかしいよ
【モラルタ】 だから壊す
【ベガルタ】 だから消すんだ
【モラルタ・ベガルタ】 おかしなものは、壊しちゃえ
マスターは慌てて説明を始める 祭りというのは、人々が日常を忘れて 非日常を楽しむものであると
奴隷区の非日常、 つまり祭りが終わって みんな日常に戻っただけなのだと
この日常を変えたいのなら 戦わなければならないのだと
【モラルタ】 戦えばいいの? さっきの警備兵と? そんなの楽勝じゃーん!
【ベガルタ】 警備兵なんかひとひねり!
【モラルタ】 戦おう戦おう♪
【ベガルタ】 戦おう戦おう♪
今にも暴れ出しそうな二人を マスターは再びなだめた
ここにいる警備兵を倒しても 根本的な解決にはならないんだ 根気強く二人に説明するマスター
【モラルタ】 どういう意味?
【モラルタ】 じゃあずっと“日常”は 変わらないってこと?
【モラルタ】 そんな日常なんかいらない! 変えられないの!?
この街の日常はすぐには変えられない ならば、自分たちの”日常”を 変えてしまえばいい
自分たちの日常を楽しいものにして また来年の”非日常”を迎えよう 二人に提案するマスター
【モラルタ】 …………
モラルタは先ほど マスターにもらった クッキーをじっと見つめていた
マスターの言ったことを 全部理解したわけじゃないけど “また”があるのはわかったようだった
【モラルタ】 だったら…約束、してくれる?
力強く頷くマスターに モラルタは小指を差し出してきた
【モラルタ】 マスターも小指出して …約束するときは こうするんだって
【モラルタ】 お祭りで会った子から 教えてもらったんだ
マスターは、モラルタの小指に 自分の小指を絡めた
【モラルタ】 約束、守ってくれるなら 私、もう一つ約束してあげる
【モラルタ】 またがくるまで… ずっとずっと ベガとマスターを守るって!!
『協奏歌劇・収穫』 モラルタが決意という意思の力により 得た新スキルだった
そう言ったモラルタの笑顔は 眩しいほどに輝いていた
【ベガルタ】 モラ、私とも約束!
【モラルタ】 もちろん! さあ、小指を出して
ベガルタとも小指を絡めると 二人はそのまま手を上下に振り 顔を見合わせて笑い出した
【モラルタ】 約束ね!
【ベガルタ】 約束だよ!
【モラルタ・ベガルタ】 キャハハハハハ!!!
双子の笑顔に マスターもつられたのか 微笑んでいた
【モラルタ】 マスター! これ、約束のお礼!
マスターにお菓子を差し出すモラルタ その笑顔に、新しい”日常”のカケラを 感じるマスターであった
Next: 310411201