310417211 ベガルタ 終幕の余韻
――トレイセーマ奴隷区
ハロウィンが終わり、 奴隷区の大人たちは 祭りの片づけを始めていた
日常へ戻ってしまうためか 子供たちの表情も暗い
【モラルタ】 みんなあんなに 楽しそうだったのに
【ベガルタ】 どうしちゃったんだろう…
【モラルタ】 ねぇねぇ、みんな! トリックオアトリート!
モラルタの明るい声が 辺りにむなしく響く
【モラルタ】 笑ってよ、 さっきまで楽しそうにしてたでしょ
近くにいた男がモラルタに、 「祭りは終わったんだよ」と 言って立ち去る
【ベガルタ】 まだ“今日”は終わってない だからハロウィンも…!
【ベガルタ】 トリック、オ、オア…
【ベガルタ】 ト、トリックオア、トリート!
【モラルタ】 トリックオアトリート!
必死に声を張り上げる二人を マスターはたしなめる
【ベガルタ】 もう誰も楽しくないの? “今日”は終わってないのに?
【モラルタ】 おい! ベガが頑張ってるのに…!
【ベガルタ】 ねぇ、モラルタ
【モラルタ】 なぁに、ベガルタ
【ベガルタ】 おかしいね?
【モラルタ】 おかしいね?
【ベガルタ・モラルタ】 楽しいことを 自分たちで終わらせるなんて
みるみる殺気を 膨れ上がらせるモラルタ
マスターはそれを察し、 止めようとする
【モラルタ】 止めるな!
【モラルタ】 気に入らねぇなぁ、何もかも!
【ベガルタ】 モラ!?
モラルタは街の奥へと 走り去る
マスターたちも追いかけようとしたが 大きなテントを運ぶ人達に 行く手をはばまれてしまう
【ベガルタ】 …モラがいなくなった
【ベガルタ】 …モラが見えない もう何もかもおしまいだ
【ベガルタ】 モラ、私はここだよ!
【ベガルタ】 僕を置いて行かないで
【ベガルタ】 一人にしないで… 一人は怖いよ…
【ベガルタ】 モラがいないと私、私…
今にも消えてしまいそうなベガルタに マスターはモラルタを探しに行こうと 提案をする
【ベガルタ】 …モラを探す?
いなくなったモラルタも、 残されたベガルタも心配だから、と マスターは言う
【ベガルタ】 心配…
少し心が動いたのか、 ベガルタの顔に少し光が戻る
【ベガルタ】 …行こう
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