310451211 リュー・リオン 理想と現実
【リュー】 ハァァッ!!!
リューの目にも止まらぬ攻撃が 敵兵を薙ぎ払っていく
【リュー】 この程度なら 私でも容易に対応できますね
元の世界でのリューは もう現役を退いたと聞いていたが そのような様子はまったく見せない
【リュー】 行きます
リューという戦力は 隊にとって欠かせないものと なっていたのだが…
【リュー】 む…
リューの視線が別方面で 戦っていた姫へと向いている
数の多い敵との戦いでは 個々の能力が上だったとしても 数的不利を覆せないこともある
その姫もまた そんな状況に陥っていたのだが
【リュー】 …もう少し耐えてください
リューは手助けに入るでもなく 突き進んでいくばかり
マスターはリューに 声を掛けようとするが 彼女を呼び止めることができない
疾風のごときリューの猛攻は やがて敵兵士を圧倒していき 撤退させることに成功する…
戦闘を終え、各々が休息を 取っている中、マスターは リューに話しかける
【リュー】 はい、何か御用でしょうか
マスターがリューに問うことは ただひとつ 先ほどの戦闘についてだ
【リュー】 私が危機に瀕した者を放置し ひとり特攻をしかけた件について 異議を申し立てたいということですか
そこまで大袈裟な話じゃないけど それでも聞かないといけないと 思ったから、とマスター
【リュー】 …表現が悪かったですね 失礼しました
【リュー】 あの状況ではフォローにまわるより 敵を排除し、撤退させるほうが より隊の勝利に近いと考えました
【リュー】 ここの隊の者達は優秀です あの程度の敵との戦闘であれば 傷つきこそすれ命を落とすことはない
【リュー】 戦いとは常に犠牲を伴います 負傷こそあれ、皆が無事であれば それが最善ではないでしょうか
…リューの言うことはもっともだ しかし、マスターはどこか 腑に落ちないものを感じている
リュー自身、無謀な独断先行を していた訳ではないし、と ひとまず納得したことにするマスター
【リュー】 ご理解いただけて何よりです この先まだ戦闘の可能性があります 私は装備の手入れをしてきます
納得した、と言い聞かせても マスターはリューとの認識の違いに 戸惑いを抱いたままだった…
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