310451214 リュー・リオン あなたは間違ってはいない
【リュー】 …これで完了ですね マスター、お疲れさまでした
長い戦いだったように感じる 任務にもやっと終わりが訪れた
【リュー】 一時はどうなるかと思いましたが 誰も欠けることがなかったのは 僥倖と言えるでしょう
【リュー】 マスター、貴方の信念が あってこそ、のことかも しれませんね
そう言って笑うリューに 信頼されていると感じるマスター
だが、戦いに犠牲はつきもの そのリューの考えも間違ってはいない
無粋だと思いつつも マスターは何故自分を 信じてくれたのかとリューに問う
【リュー】 それは…なんとなく、です
リューのまさかの答えに そんな~と声を上げてしまうマスター
【リュー】 …ふふっ、冗談です ちゃんと理由は…あります
【リュー】 とある冒険者の話です…
リューは遠くを見つめ ゆっくりと話し始める
罠によって奪われた仲間の命 復讐によって奪ってしまった命 それによって失った数々のモノ
【リュー】 その者は多くの犠牲のもと 今を生きています
【リュー】 仲間とともに戦いの中へ 身を置くこと自体に負い目を 感じていたのかもしれません
自嘲気味に話すリュー だが、その顔は決して後ろ向きな ものではなかった
その思いこそリューが マスターを信じてくれたことに 繋がったのかもしれないとマスター
【リュー】 …そうかもしれませんね
【リュー】 けど、それ以上に己が信念を 貫こうとする人との出会いが 強い影響を与えたのでは、と思います
【リュー】 その冒険者の体験は いつか貴方に訪れる未来かもしれない
【リュー】 けれど、貴方の信念を 貫くことで変えられることも あるかもしれません…と学びました
そ、そんな大それたことは してないと思うんだけど… と謙遜するマスター
【リュー】 おや、そこで謙遜されてしまっては 私の信頼は裏切られてしまいますね
リューの指摘に慌てるマスター
【リュー】 ふふ、半分冗談です
でも…とマスターは 仲間を見捨てないという 信念について改めて考える
【リュー】 そんな風に仲間のことを 真剣に考えてくださる貴方なら…
【リュー】 私も、貴方のもとにいられたなら…
マスターを見つめるリューに どうしたの?と尋ねるマスター
【リュー】 信念を貫くこと 理想を現実にするため 行動すること…
【リュー】 それができる人こそが 英雄たる資格を得られるのだろう… と、そんなことを考えていました
英雄だなんて…と笑うマスター だが、リューからの信頼は より強いものとなっていた
その証に、リューに 『あなたは間違ってはいない』 という新たな力が宿る
【リュー】 この力は貴方のために 新たな英雄譚のお手伝い、として
もしも、という可能性ではなく これからの未来を考えよう リューはそう告げる
マスターもまた その未来にリューがいてくれるなら 心強いと返す
【リュー】 …ふふ マスター、貴方は優しい
元冒険者の新たな冒険 その始まりの瞬間だった
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