320031201 ラブリュス・聖鎖・カマエル 私が必要とされる場所
天使の力を取り入れた人々が暮らす国 ハルモニア教皇国─
ここは徹底した階級制度が敷かれた 潔癖なまでの管理社会
その外れの荒野で、 ケイオスリオン帝国軍との 戦闘が繰り広げられていた
【ラブリュス】 ねぇ、わたし、かわいい?
【ケイオスリオン兵】 な、なんだ、おまえは…?
【ラブリュス】 …かわいいよね?
【ラブリュス】 かわいいでしょぉぉぉぉっ!?
【ケイオスリオン兵】 ぐあぁぁぁっ!!
ギロチンによく似た大きな斧で、 敵を切り裂く斬ル姫
【ラブリュス】 …ふぅ
彼女は、 ラブリュス・聖鎖・カマエル
普段はいつも かわいくあろうとする 彼女だが、
戦闘において自分のかわいさを 認めない相手に対しては 恐ろしいまでの残忍性を発揮する
【ラブリュス】 …すぅぅぅぅ
戦闘が終わると、 大きく息を吸い込み、 歌を歌い始めるラブリュス
彼女にとって、 歌うことは楽しみ
歌うことは慰み
歌うことは存在意義であった
しかし…
【ハルモニア兵】 よせ!敵に見つかるだろ
【ラブリュス】 …!
【ラブリュス】 ごめんなさい…
この国は徹底的な階級社会…
上層部からの許可がでない限り、 彼女は歌うことすらできなかった
それから、しばらくして…
【ラブリュス】 どういうこと!?
【ヴァナルガンド】 説明した通りです
【ヴァナルガンド】 あなたの歌は 味方の士気を下げるだけでなく、
【ヴァナルガンド】 敵に居場所を悟られる 目印にもなっています
【ヴァナルガンド】 そのような行為は、 斬ル姫としてふさわしくないと 国が判断しました
【ヴァナルガンド】 よって、あなたが 歌を歌わないように管理するため、 私が派遣されてきたというわけです
【ラブリュス】 歌っちゃダメなの!?
【ヴァナルガンド】 戦闘において、 歌など無用の長物ですから
【ラブリュス】 そんなことないよ! 歌はわたしにとって大切な…!
【ヴァナルガンド】 口答えは国家への反逆と見なされ、 処罰の対象となりますよ
【ラブリュス】 …!
【ラブリュス】 なによ… 国がしたいのは…
【ラブリュス】 『管理』じゃなくて… 『監視』でしょ?
【ヴァナルガンド】 なにか言いましたか?
【ラブリュス】 …いいえ
こうしてラブリュスは、 ヴァナルガンド監視の元に 置かれることとなった
【ラブリュス】 わたしに… 歌を止めろなんて…
【ラブリュス】 息をするなって言ってるのと、 同じだよ…
1ヶ月ほどが経った、 ある日…
【ラブリュス】 はぁ…はぁ…
【ヴァナルガンド】 …………
戦場で大量の ケイオスリオン兵を倒す ラブリュス
【ヴァナルガンド】 あなたの戦いぶり、素晴らしいです
【ラブリュス】 はぁ…はぁ…
【ヴァナルガンド】 歌を止めても 戦果は変わっていません
【ヴァナルガンド】 これには教皇様も 大変喜んでおられます
【ラブリュス】 はぁ…はぁ…
【ラブリュス】 戦果はね…
【ヴァナルガンド】 なにか言いましたか?
【ラブリュス】 …いいえ
【ラブリュス】 教皇様のため… 歌は捨て、この身を捧げるよ
【ヴァナルガンド】 よろしい
国からの称賛を得た ラブリュスだったが、
【ラブリュス】 はぁ…はぁ…
しかし、その目に 以前のようなエネルギーと輝きは 宿っていなかった…
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