320111212 ワズラ・D. plug・フールフール 悪意滅ぼす魔の契約
【ワズラ】 …掃除当番? なんのことでしょう? …ふふ
意地悪そうに笑いながら 掃除当番をすっぽかして どこかに遊びに出かけていたワズラ
隊にいる以上は、こういうことも 守ってもらわないと… とマスターは注意する
【ワズラ】 掃除当番は契約内容に 含まれていません
【ワズラ】 ワズラが手を貸すのは 戦うことだけですよ
【ワズラ】 もし掃除当番をワズラに 頼みたいのなら、 こちらの契約書にサインを…
悪魔フールフールの影響なのか 契約書に書かれていないことは 一切やってもらえない
それどころか、契約していないことは 嘘をつかれて 騙されることさえある始末だ
【ワズラ】 …では契約は結ばれました 掃除当番に行ってまいります
ワズラと掃除当番の契約を交わし 嘆息しながら今日の任務について 作戦を練ろうとするマスター
ふと、任務のために用意した 地図がないことに気づいた
「ワズラの仕業だよ! 掃除当番を押し付けられた仕返しだ」 と他のキル姫達が騒ぎ立てる
そうなのだろうか…? と疑い切れないマスターだが 現状、他に思い当たる節はない
【ワズラ】 …? 何のことでしょう ワズラは何もしていませんよ
心当たりもないかな? とマスター
【ワズラ】 ええ ワズラにはさっぱり…
…と、そんなところへ他のキル姫が 慌ててやってきて、地図を間違えて 持っていってしまったと告げた
どうやら勘違いだったらしい 疑うようなことをしてごめんね とマスターがワズラへ謝罪すると…
【ワズラ】 酷いです、マスター ワズラを疑うなんて…っ!
と言って泣き崩れるワズラへ ち、違うんだよ…! とマスターは慌てて弁明する
【ワズラ】 …ふふっ、いいんですよ マスター
ワズラはぺろりと唇を舐めると 表情をころりと変えて 優しく微笑んだ
【ワズラ】 ワズラを疑ってしまうほど、 疲れてるんですよね
いや、そんなことは… とマスター
【ワズラ】 今日はもう任務のことなど忘れて ゆっくり休みましょう…
ワズラは優しい言葉を 投げかける
しかしマスターは首を横に振って ワズラへこう弁明する
君を疑っていたわけじゃない でも、信じてあげられて なかった…
次はきっと信じるから とマスターはワズラの目を見て 真っ直ぐ伝えた
【ワズラ】 えっ… いえ、ワズラははじめから 貶めるつもりで…
予想外に真っ直ぐな言葉を受け ワズラは小さく戸惑いの声を上げた
【ワズラ】 諦めるどころか 信じるなんて…
ワズラは胸元で 両手をぐっと握り締めた
【ワズラ】 …これが、この隊のマスター、か
マスターは反省していた ワズラを信じて あげれなかったなんて…と
今日からは心を変えて任務に挑もう とマスターは意気込んでいた
そして、そんな気合の入った マスターを見て キル姫達の士気も高まる
【ワズラ】 …? なんでしょう 隊の士気が、いつもより高い…
【ワズラ】 まさか、マスターが みんなを信じようとしているから…?
【ワズラ】 その思いを汲み取って 隊のみんなが、こんなにがんばって いるというんですか…
戸惑っているワズラへ 側面から敵が来ているよ! とマスターの指示が飛ぶ
【ワズラ】 …っ! わ、わかりました!
今度は正面から魔獣が突撃し マスターへと向かっていく…!
ワズラ、お願い! とマスターは指示を飛ばす
【ワズラ】 あ、あんなに大きい魔獣を!? マスター、下がってください!
【ワズラ】 もし仕留めきれなければ マスターが危険です
ワズラなら大丈夫だよ! 君のことを信じてる と言って、マスターは下がらない
【ワズラ】 わ、ワズラが契約を破ることは 許されないんです だから今は下がってください!
そう訴えるワズラへ 次はきっと信じるって約束したから とマスターは優しく微笑んだ
【ワズラ】 …っ! 信じる、ですって?
【ワズラ】 嘘をつくことも、騙すことも 変えられないワズラの一部なんです
【ワズラ】 そんなワズラのことを… 信じられると?
弱気になるワズラへ、 マスターは力強く頷いた
【ワズラ】 …わかりました
ワズラは突撃してくる魔獣を 仕留めるために、武器を構えた
【ワズラ】 ワズラにはできると思えないのに マスターは、ワズラならできると 信じてくれた…
【ワズラ】 信じられることが こんなにも心強いことなんて…っ!
ぎゅ、とワズラは構えた斧を 力強く握り締めると 突撃してくる魔獣へ振りかぶった
【ワズラ】 今ならきっと、できる…っ!
【ワズラ】 はぁあっ! 『悪意滅ぼす魔の契約』!
魔獣を打ち砕いたその一撃は、 マスターの期待以上の威力を見せた
すごいよ、ワズラ! と歓喜の声を上げるマスター
【ワズラ】 …はぁ ワズラとしたことが、つい 必要以上の力を使ってしまいました…
でも、すごくいい一撃だったよ! とガッツポーズを作るマスター
【ワズラ】 なら、もう満足でしょう、マスター 理想のための戦いも、今日でいったん お休みとするのはいかがですか?
そう提案するワズラへ やはりマスターは首を横に振って まだ理想には遠いんだ、と告げる
【ワズラ】 …はぁ まさかここまで強情だとは まったく、本当に困った人ですね
【ワズラ】 …まぁ、今はまだ、いいでしょう
【ワズラ】 その意思が強ければ強いほど 与える罰もまた 興が乗るというものですから…
そう言ってワズラは、 いつものように、含みのある 笑顔を浮かべるのだった…
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