320121211 スラーンド 使命の足枷
マスターの隊に 新しい姫が入ってきた
彼女の名はスラーンド
【スラーンド】
空を駆け、音を越え、
すべてを蹂躙する雷が、
今、降臨したっ！
【スラーンド】
軍神セトを獣刻された偉大なる強さ、
見せてやろうっ！
その言葉通り、 戦場にて、とてつもない力で 敵を駆逐していく
【スラーンド】
この怒れる雷、
受け止め切れるかぁっ！？
雷の力を扱う彼女は恐ろしく強く、 先陣を切って、敵を薙ぎ倒している
【スラーンド】
みんな！怯むな！！
あたしがいれば絶対に勝てるっ！！
「おう！」と応える姫たち
スラーンドの雷光と雷鳴は 味方を大いに鼓舞する
ゆえに、彼女は隊で 一目置かれる存在となっていた
【スラーンド】
仲間は…あたしが守る！！
セトの守護者としての影響で、 “仲間を守り切る”という 強い使命感を背負い戦う彼女
【スラーンド】
くらいなぁっ！
戦場に大きな雷が落ちる
【スラーンド】
はぁ…はぁ…
倒れている敵兵たち
【スラーンド】
任せてよ、マスター！
あたしの雷光で、
みんな照らしてみせるから！
【スラーンド】
あ、でも力が強過ぎて、
みんな真っ黒こげになっちゃうか！
あはははは！
大きく笑う彼女
陽気で力強い彼女に、 マスターも隊の姫たちもみんな 全幅の信頼を寄せていた
そんな、ある日…
【スラーンド】
また戦闘が…？
【スラーンド】
わかった！今すぐ出陣しよう！！
戦場に到着するや否や、 いつも通り、 勇ましく先陣を切る彼女
【スラーンド】
はぁぁぁぁっ！！
敵を倒しながら、 戦場を駆け抜ける
その時…
【スラーンド】
…！
敵の攻撃を受け、 倒れる仲間の姫を目撃
【スラーンド】
あ…！
さらなる追撃が 仲間に降りかかろうとする
【スラーンド】
危ないっ！！
咄嗟に身を乗り出し、 敵の攻撃を受けるスラーンド
【スラーンド】
がはっ！！
傷を負い、膝を付く
【スラーンド】
…くっ！な、仲間は…
【スラーンド】
あたしが守る！！
【スラーンド】
ぬああああああっ！！
落雷の閃光が走ったかと思うと――
その一撃により敵は倒された
だが…
【スラーンド】
くっ…！
彼女は大きなダメージを受けてしまった
【スラーンド】
大丈夫…？
今、マスターが来てくれるから…
身を挺し、助けた姫を気遣う彼女
しかし傷は、 明らかにスラーンドの方が大きい
「だ、大丈夫か！？」 傷ついた彼女に駆け寄るマスター
【スラーンド】
は、はは…大袈裟だな
【スラーンド】
ら…雷光とは常に
最速、最大の破壊をなすもの…
【スラーンド】
これしきのことで、
その光を消すことなど、
出来ぬのだ…！
【スラーンド】
な……なんてね…
【スラーンド】
うぐっ…！
強がって、おどけて見せるが、 その目は確実に光を失いつつあった
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