320162213 シタ・聖鎖・メタトロン クリスマスver. 聖夜を灯す契約の履行
【シタ】
大丈夫ですか、マスター
寒くないですか？
心配そうに尋ねるシタに 大丈夫だよ とマスターは微笑み返す
【シタ】
それにしても、困りました…
まさか魔獣があんな群れで
いるなんて…
苦戦を強いられたふたりは、 体勢を整えるために 洞窟に身を潜めていた
すでに日は沈み、 凍えるような風が 洞窟の中にまで吹き込んでくる
【シタ】
…困りました
二人が悩む間にも時間は進み、 約束の時間は刻一刻と迫ってくる
【シタ】
…でも、ここで手を
こまねいている
わけにはいきません！
【シタ】
マスターはここにいてください
わたしが、残りの魔獣を
しとめてきます！
マスターが呼び止める間もなく シタは飛び出していってしまった
…待って！ マスターも洞窟を出て シタに呼びかける
シタの気配に感づいたのか 辺りにはすでに魔獣が 集まり始めていた
【シタ】
嫌です！
楽しみに待っている人がいるんです！
この約束は破れません！
【シタ】
わたしが…わたしが全部
やっつけますから！
約束よりも、君の身が優先だ！ とマスターは叫んだ
【シタ】
～っ！
マスターのわからず屋っ！
わたしの身よりも約束が優先です！
この頑固者っ！ とマスターも負けじと言い返す シタを傷つけるわけにはいかないのだ
【シタ】
絶対に守らなきゃいけないんです
だって、だって…っ！
何かを言おうとするシタより先に マスターが叫ぶ
みんなの笑顔も大事だけど、 僕にとっては君の笑顔も 大事なんだ！と必死に訴える
【シタ】
…っ！？
わたしのことを…思って
くれていたんですか、マスター
【シタ】
…わたしも
わたしも、同じ気持ちです！
【シタ】
約束を守り通せた時の
マスターの嬉しそうな顔が
好きだから！
だからこんな無茶をしたのか とマスターも気づかされたとき…
互いを思いやっていた気持ちが 重なってバイブスが強く共鳴し シタに新たな力が宿る…！
【シタ】
ああ、この力なら
どんな敵でも乗り越えられますッ！
シタから迸るエネルギーが 雪原の上で輝きを放つ
【シタ】
はあっ！
『聖夜を灯す契約の履行』！
轟音を響かせ放たれたシタの一撃が 魔獣の群れを瞬く間に残滅した
【シタ】
や、やった…
肩で息を切らすシタ まさかあの数を一掃するなんて とマスターも唖然とする
【シタ】
ま、街に戻りましょう、マスター！
まだ間に合います！
マスターは気を取り直し シタの手を握って街へと駆け出した…
【シタ】
ふぅ、なんとか配り終えました！
お疲れ様、とマスターは 疲労から近くのベンチに座り込み 息を切らしながらシタを労う
【シタ】
マスターも、お疲れ様です
わたしもちょっと休憩します…
ふたりでベンチに座り ほっと息を吐く
マスターは彼女の横顔を見つめて さっきはごめんね、と謝る
【シタ】
…え？
い、いやいや！
わたしのほうこそ、ごめんなさい
【シタ】
マスターのことを思うばかり
マスターの思いに
気づけませんでした…
…お互い様、ということかな とマスターは笑顔を浮かべた
【シタ】
…そうですよ！
お互いにごめんなさいしたから
おあいこですよっ！
シタは気持ちを切り替えるように 手をパンと鳴らして笑顔を浮かべた
今はともかく、みんなの笑顔を 守れてよかったね とマスターも気持ちを切り替える
【シタ】
プレゼントを貰って、嬉しくない
人なんていませんもんねっ
シタも貰えたら嬉しい？ とマスターは尋ねる
【シタ】
え？えぇ、もちろんです！
…マスターも貰えたら嬉しいですか？
おずおずと尋ねるシタへ もちろんだよ とマスターは優しく微笑む
【シタ】
そっか…そう、ですよね！
えっと、じゃあ、マスター…
きらきらとした目で シタはじっとマスターを見つめて こう言うのだった…
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