320162214 シタ・聖鎖・メタトロン クリスマスver. 天戒『聖者の代理』
【シタ】 自然を荒らした魔獣… 契約違反は…叩き潰します
…これがいいな とマスターは露天商で ある買い物をしていた
【シタ】 あ、マスター! もう、急にどこかに行くから 探しましたよ~
びくり、とマスターは買ったものを 素早くポケットに入れて ごめんごめん、とシタに謝った
【シタ】 …? それにしても、 お祭りも今日で終わっちゃいますね
そうだね、と話を合わせるマスター 早くも店じまいを始めている ところもあるくらいだ
【シタ】 任務も、配達のお手伝いも マスターと一緒にいる時間も これでお仕舞いかと思うと…
【シタ】 はぁ~…
すごく残念そうなシタ 僕も少し名残惜しいな… とマスターは呟く
【シタ】 ふふっ、マスターも わたしと同じ気持ちですね
【シタ】 あ、そうだ 配達の人から貰ったお礼は どうします?
そうだなぁ… とマスターはその使い道を考える
配達の仕事を手伝ったことで ふたりは少しばかりの賃金を得ていた
マスターはやんわりと断ったのだが 向こうにも面子というものがある らしく、断りきれなかったのだ
【シタ】 お客さんに手伝わせちゃったって 申し訳なさそうにしてましたもんね
【シタ】 でも、配るって契約したんですから ちゃんと守るのは当たり前ですよね
そう言って、マスターを やたらとキラキラした目で 見上げてくるシタ
【シタ】 ね、マスターも同じ気持ちですよね?
もちろんだよ と頷くマスター
さて任務も仕事も終わったし 晩御飯を食べようか、 とマスターは切り出した
【シタ】 お祭りだからと散在するのは いけませんね 今晩は質素なものにしましょう!
【シタ】 ね、マスターも同じ気持ちですよね?
…先日の一件を乗り越えてから 契約を守ることについて 更に強化されていたシタ
やや気持ちを押し付けるような節は あるが、マスターのことをより強く 信じてくれるようになったのも事実
【シタ】 ふふっ、マスター… わたし、信じていますから… ふふ、ふふふ…
相手の善意を信じるその心の変化は 天戒『聖者の代理』 となって彼女に宿っていた…
【シタ】 マスターは契約を守って くれますよね 裏切らないですよね
【シタ】 マスターは契約を守って くれますよね? 守りたいですよね?
【シタ】 わたしとおんなじ 気持ちですよねっ ねぇ、マスター!
ずいずいと詰め寄るシタに マスターは気圧されるように 仰け反ってしまう
そんなやり取りをしている ふたりへ、商人の男が 声をかけてくる
「そこのカップルさん、こんな日に 特別なプレゼントはどうだい!」と
【シタ】 か、カップルじゃありません!
ぽかぽか と、なぜかマスターに当たるシタ
マスターはシタを抑えながら プレゼントは大丈夫です と商人には断りを入れた
「おや、いいのかい?」 と商人から聞かれたマスターは もう用意してあるので…、と答えた
【シタ】 えっ、用意って… ま、まさかマスターも…? わたしと、同じ気持ちで…?
【シタ】 …う、嬉しいです
なんだか変な流れになってしまった けど、受け取ってくれるかな とマスター
【シタ】 …こちらこそ
照れながら、お互いにプレゼントを渡す
【シタ】 さ、早速開けますね! …わぁ、雪の結晶? の、髪飾りですね!きれいです…っ!
【シタ】 ありがとうございます、マスター ふふ、一冬の思い出って 感じがして、素敵です
【シタ】 では、わたしからもプレゼントを… ど、どうぞ、受け取ってください
そう言ってシタが手渡してきたのは 暖かそうな色合いのマフラーだった
マフラーは包装されておらず 縫い目は粗く手作り感がある
まさか、君が編んだの!? とマスターは驚く
【シタ】 はいっ、任務の合間に少しずつ…
【シタ】 ひと編みひと編み、マスターの ことを思いながら編みました… ふふ、ふふふ…
彼女の不気味な笑いはさておき 嬉しいよ、ありがとう とマスターはマフラーを首に巻く
【シタ】 …マスター 来年もまた来ましょうね
シタはそう言って微笑む 契約は大丈夫なの? とマスターは尋ねる
【シタ】 契約のことなら大丈夫です マスターならきっと守ってくれるって 信じてますから!
【シタ】 あ、先に言っておきますけど プレゼント目当てじゃありませんよ! だって…
シタはマスターを見上げて ぎゅっと手を握り、見つめてきた…
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