320302214 リサナウト・針枷・クロノス 星霜『確定事象の報告』
【リサナウト】 夢も子もないわ
元も子も、ではないか とマスターが指摘する
【リサナウト】 サンタ役の人が兵士に捕まったら 夢がないし、悲しむのは子どもよ だから合ってるわ
【リサナウト】 ここまで騒ぎになっちゃったし もう細かいことはいいわ 私たちでプレゼントを配りましょう!
【リサナウト】 安心して当主様 もし兵士に見つかっても 私が黙らせてあげるから
マスターは彼女の提案を受け入れ 子どもたちが寝静まる夜更けに 二人でプレゼントを配ることになった
【リサナウト】 サンタを追いかけたおかげで 屋根渡りもお手の物よ さぁ、じゃんじゃん配るわよ!
【リサナウト】 ふぅ、終わったぁ
すべてのプレゼントを配り終え マスターの部屋で一息つく リサナウト
そういえば… マスターは気になっていた ことをリサナウトに尋ねる
どうしてプレゼントが壊れたとき 時間を戻さなかったの、と
彼女には時間を操作する能力がある 好きなだけ時間を遡り 納得した時間軸に辿り着けたはずだ
しかしマスターへのプレゼントは 壊れたままだ
【リサナウト】 …迷ったわよ
【リサナウト】 正直、とてもね あの夜の前に時間を戻そうかと
【リサナウト】 でも… 私も当主様と一緒にいられて 楽しかったから
【リサナウト】 像が壊れてしまったことも含めて あの夜の大事な思い出にしたい そう思ったの
その言葉に安心したような笑みを 浮かべるマスター そして、ふと思い出す
マスターからもリサナウトに プレゼントを用意していたんだ、と
【リサナウト】 えっ、ホントに? 棚からは牡丹餅が出るらしいけど 当主様からは何が出るのかしら?
君に喜んでほしくて 悩みながら選んだんだ と、嬉しそうに話すマスター
【リサナウト】 それでそれで? 当主様は何を選んでくれたのかしら?
…………ごそごそ、と探るが ポケットには何もない 先ほど落としたのだろうか
マスターは慌てて 代わりを用意するから待ってて と告げて、席を立とうとした
【リサナウト】 …待って!
【リサナウト】 行く必要はないわ なぜなら…
【リサナウト】 もう貰っているから そう、この心の中に
マスターは首を傾げる
【リサナウト】 受け取ったの
【リサナウト】 当主様の想いを
リサナウトはそう言って マスターの手をぎゅっと握る
【リサナウト】 当主様が以前 そうしてくれたように
【リサナウト】 私の胸にも当主様の 想いは届いているわ
リサナウトはマスターの手を 自分の胸元に添えて こう続ける
【リサナウト】 当主様が私にプレゼントを 用意してくれた その気持ちが嬉しかった
【リサナウト】 だからもう 私は当主様からのプレゼントを 貰っているのよ
そう言って 満足そうに微笑む彼女
マスターからの想いを受け取り 星霜『確定事象の報告』 が確かに贈られていた
彼女はマスターの部屋の隅にある マスターの像をちらりと見る
今はリサナウトのリボンで ぐるぐる巻きに補強されている
【リサナウト】 …そうでしょ?
柔らかく微笑む彼女 だがプレゼントを渡したい思いから でも…と言い淀むマスター
【リサナウト】 でも…?そうね どうしても当主様が気に入らない というのなら…
【リサナウト】 追加でプレゼントを貰うわ
【リサナウト】 このまま朝まで、当主様の お話を聞かせてくれるかしら
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