330201203 ピサール・聖鎖・サマエル 天戒『闇纏う十二の翼』
あれから数日後─
【ピサール】 ………
ピサールは丘にいた
また夜空を眺めてるの?
【ピサール】 マスター
【ピサール】 うぅん、夜空じゃないわ あれを見てたの
彼女が指さした先では、 一人の斬ル姫が一生懸命 鍛錬を積んでいる
【ピサール】 あの子…がんばってるね
きみはやらないの?
マスターが尋ねる
【ピサール】 わたしは…
【ピサール】 面倒くさいからやんない
相変わらずだね …と、マスターが笑う
【ピサール】 わたしは…争いばかりの この世界には救いは無い… 努力をするだけ無駄だと思ってる
【ピサール】 救いがあるとするなら… それは“死”のみ
…死?
【ピサール】 そう…“死”……
死者の魂から不道徳を取り去り、 天国へ導く『死の天使』でもある サマエル
それを聖鎖<ジェイル>された 彼女らしい考え方かもしれない
【ピサール】 マスターに解放される前… 死は“天国・楽園”への 切符だと考えていたわ
【ピサール】 だから敵を殺すということは… その者にとって“救済”だと思ってた
【ピサール】 そして…わたし自身の死もまた… “天国・楽園”への旅立ちだと……
今もそう思ってる? マスターが彼女に尋ねる
【ピサール】 戦場でしか生きられない わたしたち斬ル姫は……
【ピサール】 死ぬ時に死ぬだけ… 努力なんてせず… 楽に天国に行けた方が……
僕は抗いたいけどな
【ピサール】 …どうして? そんなの… 辛いだけじゃないの?
死んだ後、楽園に行けるんなら、 現世の地獄で戦い抜いてからでいい
同じように死ぬのなら 一歩でも前に進んで 死にたいからね
【ピサール】 ……!
【ピサール】 一歩でも前に進んで…
【ピサール】 その想いもまた… 魂の熱情ってやつ?
マスターの言葉に 彼女のバイブスが共鳴する
【ピサール】 一歩でも前に…か
握り締めた拳が光を放つ
それは彼女が新たなスキル 天戒『闇纏う十二の翼』に 目覚めた瞬間でもあった
【ピサール】 今まではずっと楽して… そう、怠けて生きてきゃいいと 思ってたけど…
【ピサール】 わたしたち斬ル姫は、 そうはできない宿命なのね
うん!だから、 一歩一歩前進しながら生きていこう! 平和な世界を作るために!!
キラキラと目を輝かせて 話すマスターに…
【ピサール】 は~あ、そういうのほんと…
【ピサール】 面倒くさ~い!
【ピサール】 けど、マスターが 導いてくれるのなら…
【ピサール】 一緒にやってあげてもいいよ♪
彼女の瞳には、 希望と熱情という名の 光が満ちているようだった
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