330281201 ヘレナ・D. plug・ロキ 嘘つきの涙
【ヘレナ】 …………
新たにマスターの隊に 入ったヘレナ
入隊から しばらく経とうとしているが、 どこか気が抜けていた
【ニール】 ヘレナ? なんだか元気ないね
【ヘレナ】 元気がない、 というわけではないんだが…
煮え切らない表情で、 ぶらぶらと丘を進む二人
【ニール】 でも、今のヘレナは 空気が抜けかけた 風船みたいだよ?
【ヘレナ】 そうだな… 私は風船だからな 空も簡単に飛べるぞ…くふっ
【ニール】 嘘にもキレがないじゃない
【ニール】 …あっ! そうだ マスターに 嘘をつきに行くのはどう?
【ニール】 まずはリハビリで お人好しのマスターを騙せば、 噓のキレも戻って元気になるかも
良いことを思いついたとばかりに 飛び跳ねるニールを見つつ、 ヘレナは首を振った
【ヘレナ】 先輩はすごく純粋だから、 嘘をついてはいけない気がするんだ
【ヘレナ】 そうだ… マスターも隊にいる斬ル姫達も いい人だ…
【ヘレナ】 ヘレナ達は 他の斬ル姫とは違う…
【ヘレナ】 霊装支配をマスターに 解放してもらったわけではない
【ヘレナ】 だから… 他の斬ル姫みたいに、 仲間になったと言えるのだろうか
考え込むヘレナを見て、 ニールは目を尖らせた
【ニール】 むぅ、ヘレナってば 人のことは良く見えてるのに 自分のことは全然見えてないよね
【ヘレナ】 なにを言ってるんだ? ヘレナのキラーズは聖釘へレナだぞ? 観察眼は最高クラスだと自負している
【ニール】 も~、そういうことじゃないの
【ニール】 そんなんじゃダメだよ? それじゃ、嘘つきの道は 遠いんだから
そう言いながら、ニールは なにか良いことを思いついたのか 楽しげに目を細めた
【ヘレナ】 ニール?
【ニール】 なんでもないよ~? ほら、このままじゃ隊から 離れすぎちゃうから戻ろう?
【ヘレナ】 …ああ、そうだね
二人並んで、来た道を戻る 一人の足取りはどこか重く、 もう一人の足取りは軽やかだった
【ニール】 というわけだから 協力して欲しいです!
なるほど、お祝いのパーティーか と、ニールの言葉を聞いて 思案するマスター
【ニール】 最近は少しのんびり出来てるし、 いいタイミングでしょ?
納得するマスターだったが、 躊躇いを見せた
でも、どうしてサプライズで やるの? と、ニールに尋ねる
【ニール】 こういうのはサプライズで やるから意味があるの!
でも、嘘をつくのは自信ないな… と呟くマスター
【ニール】 大丈夫、今のヘレナってば あまり周りが見えてないもの
そう言って、 ニールは楽しげに笑っていた
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