33032123 ガ・ジャルグ・獣刻・イーリス 七彩の強襲
【ガ・ジャルグ】 はぁ…はぁ…!
見事、敵を全滅させたガ・ジャルグ
――と、その時、 獣の咆哮が森にこだました
【ガ・ジャルグ】 !
視線の先では、 初めて狩りを成功させた子狼が 高らかに吠えていた
【ガ・ジャルグ】 そっか…上手くいったんだ
【ガ・ジャルグ】 …良かった
そう呟く彼女に、マスターは言う
未完成なものは、 完成しようと努力している …と
【ガ・ジャルグ】 …完成しようと……?
君の妹は、君を殺したいんじゃなくて 超えようと努力してるんだと思うよ だって…姉妹なんでしょ?…と
【ガ・ジャルグ】 !!
その言葉で、 彼女は自分の心と 向き合う
【ガ・ジャルグ】 あの狼の子みたいに… 未熟なのは…わたしも同じ
【ガ・ジャルグ】 妹を救いたい… そう言いながら……
【ガ・ジャルグ】 本当は自分の心が 救われたいだけだった…
【ガ・ジャルグ】 妹を追い詰めてしまった罪の意識、 良心の呵責から… 逃れたいだけだった
【ガ・ジャルグ】 だから心のどこかでは…
【ガ・ジャルグ】 妹に討たれたら、 罪滅ぼしで心が救われるかも 知れないと密かに思ってた
【ガ・ジャルグ】 七色の輝きを持つ 至高の存在とか言いながら… なんと弱く、未熟な……
己の心の弱さを嘆く彼女
しかし、マスターは言う じゃあ、きみも完成しようと 努力すればいいじゃん…と
【ガ・ジャルグ】 !
あっけらかんと言い放つマスターに、 驚きの表情を見せる彼女
やがて…
【ガ・ジャルグ】 …そ、そんなこと!
【ガ・ジャルグ】 言われなくても、 分かってたわよ!!
【ガ・ジャルグ】 で、でも…
【ガ・ジャルグ】 ありがとう
【ガ・ジャルグ】 ちゃんと妹と向き合い… あの子を正しい方向に 導いてあげようと思う…
その心の変化により彼女は 新たな力『七彩の強襲』に 目覚めるのだった
【ガ・ジャルグ】 力とは…
【ガ・ジャルグ】 誰かを討つためのものではなく、 誰かを導くためのものでありたい
【ガ・ジャルグ】 それを教えてくれたあなたに… 感謝してあげてもいいわよ?
あくまで上から目線の彼女
そして、こう続ける
【ガ・ジャルグ】 でも、ここで狼の子供が 狩りをしてなかったら、 どうするつもりだったの?
それに対し、マスターは…
…あ、そこまでは考えてなかった… と、汗を垂らす
【ガ・ジャルグ】 ………
【ガ・ジャルグ】 …プッ!
【ガ・ジャルグ】 もう…呆れた人ね
彼女の目はとても晴れやかで、 口元には爽やかな笑みがこぼれていた
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