340192211 フェイルノート・D. plug・ルシファー 極上チョコの献上令
バレンタイン当日… 誘いを受けたマスターは フェイルノートの部屋を訪れた
【フェイルノート】 あら…ようやく来たのね、 待っていたわ
【フェイルノート】 さっそくだけどお前様、 私の近くに来てくれる?
【フェイルノート】 もっと近くよ、早くしなさい そう、そこで大きく口を開けて… 目をつむって?
【フェイルノート】 …はい。あーん
口の中に広がる 甘くほろ苦い香り…
その風味の正体が チョコであることに、 マスターはすぐに気が付いた
【フェイルノート】 どうかしら? いつも私のために 尽くしてくれているご褒美よ
もしかして手作りだろうか? マスターは聞いてみたが…
【フェイルノート】 …ふふっ 残念ね これは姫たちからもらったの
【フェイルノート】 量が多いから、お前様にも おすそ分けしようと思ってね
【フェイルノート】 ほら、遠慮しないで また口を開けなさい
【フェイルノート】 全身の血液が チョコと入れ替わるくらい、 大量に流し込んであげるわ…
【フェイルノート】 …ふふっ なんてね
【フェイルノート】 お前様のことだもの わざわざ私が おすそ分けしなくても…
【フェイルノート】 ほかの姫たちからのチョコのおかげで すでに満腹なのでしょう? まったく、いいご身分だこと
フェイルノートの 呆れたような声色に、 マスターはぶんぶん首を振る
その必死な否定に、 フェイルノートは 小さく笑いをこぼす
【フェイルノート】 まあいいわ ところで…
【フェイルノート】 お前様はいつになったら、 私にチョコをくれるのかしら?
【フェイルノート】 親密な相手には 性別に関わりなく渡す
【フェイルノート】 バレンタインとは そういうものでしょう?
【フェイルノート】 現に私は、 慕ってくれている姫たちから こうしてチョコをもらっているわ
【フェイルノート】 ならば当然、お前様も―― 親愛なる私へのチョコを 準備しているはずよね?
さも当然のように語られ、 冷や汗を垂らすマスター
【フェイルノート】 うふふ…♪ なにを慌てているのかしら もしかして準備がないとか…?
【フェイルノート】 …ふん、いいでしょう 普段の働きぶりに免じて、 今回は猶予を与えてあげる
【フェイルノート】 命令よ、お前様 今日中にチョコを献上しなさいっ
【フェイルノート】 この私に贈るのだもの きっと極上のチョコを 準備してくれるのよね?
【フェイルノート】 楽しみにしているわ、お前様 …うふふっ
部屋を出たマスターは、 急いでチョコを準備するべく キッチンへ向かった
しかし、そこに 思わぬ敵が現れる
【ケイオスリオン兵】 チョコの匂いがしたぞ!
【ケイオスリオン兵】 バレンタインは禁止だっ! これ以上チョコは作らせない!
突如現れたケイオスリオン兵が マスターに襲い掛かる――
【フェイルノート】 ――平気、お前様? 危ないところだったわね
尻餅をついたマスターに 手を差し伸べるフェイルノート
間一髪のところで マスターを助けてくれたのだった
【フェイルノート】 やれやれ… どうしてこんな場所に ケイオスリオン兵がいるのかしら?
【フェイルノート】 大方、バレンタイン嫌いの どこかの誰かさんが 寄越したのでしょうけれど…
【フェイルノート】 ともあれ、このままお前様を ひとりにするのは危ないようね
【フェイルノート】 私も同行するわ、 お前様を守るために… さあ、行きましょう
伸ばされた小さな手を マスターがゆっくりと握る
その手は細く華奢で… しかしとても頼もしく、 マスターを安堵させるのだった
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