340192214 フェイルノート・D. plug・ルシファー 魔狂『本命なる漆黒甘味』
後日、改めて フェイルノートのもとを 訪ねたマスター
【フェイルノート】 あら、どうかしたの? それは…献上品かしら?
【フェイルノート】 ああ…私のあげたレシピを 参考にして作ったのね
【フェイルノート】 以前のものより ずっと良い見た目ね、 なかなかやるじゃない
チョコを手渡す マスターの顔には、 確かな自信が浮かんでいた
口に合うといいんだけど… そう言ってはにかむマスター
【フェイルノート】 ええ、さっそくいただくわ …あむっ
【フェイルノート】 んん、んむ… …んふふっ…♪
明らかに嬉しそうな フェイルノートの声色、 しかし…
【フェイルノート】 …ふぅーん。なんだか、 期待していたよりも 凡庸な味ねぇ?
【フェイルノート】 姫たちにもらったチョコの方が もっと味わい深かったわよ?
意地悪な声でそう言う彼女に、 あれっ…と困惑するマスター
その顔を見て、 フェイルノートは くすくすと笑いだす
【フェイルノート】 冗談よ、冗談 そんなに落ち込まないで頂戴
【フェイルノート】 とてもおいしいわ… ずいぶん腕を上げたじゃない
【フェイルノート】 素材も良いし、調理も見事ね それになによりも――
【フェイルノート】 チョコに込められた「想い」が、 前よりもずっとずっと 強くなっている
【フェイルノート】 ええ、わかるわ… こんなにもはっきりと、 お前様の「想い」を感じ取れる
【フェイルノート】 手作りのチョコを食べただけで、 こんなにも相手の気持ちが 伝わってくるなんて…
【フェイルノート】 本当に不思議よね…ふふっ 感謝してあげる、お前様
直球で褒められ、 マスターは思わず 顔を赤くしてしまう
【フェイルノート】 …あら、なにをそんなに 照れているのかしら?
【フェイルノート】 この私が褒めているのだから、 もっと堂々と誇りなさいな
【フェイルノート】 お前様は、至高たるこの私と 契約した相手なのだから… そうでしょう?
【フェイルノート】 …あら…
チョコを食べていた フェイルノートが、 ふと寂しげな声を出した
【フェイルノート】 あんなにゆっくりと 味わっていたのに、 もうなくなってしまったわ
【フェイルノート】 ああ、惜しいものね… お前様の「想い」を存分に味わえる 幸せな時間だったのに…
切ないフェイルノートの表情… それを見たマスターは すぐさまキッチンに戻ろうとする
【フェイルノート】 …え? 次はもっとたくさん…って、 また作ってくれるの?
【フェイルノート】 …ふふっ そうよね お前様はそういう性格だわ
【フェイルノート】 自分に足りない部分を認め、 次に活かそうとする素直さ…
【フェイルノート】 それがお前様の輝き… ええ、確かにそうだったわね
マスターの持つ素直さに 改めて感心するとともに…
フェイルノート自身も、 マスターと同じ輝きを 手に入れたいと感じた
その思いが形となり… 新たなスキル 魔狂『本命なる漆黒甘味』へ昇華した
【フェイルノート】 お前様がもう一度 贈り物をくれると言うのなら…
【フェイルノート】 私ももっと、 「想い」の込もったお返しを 用意しないといけないわね
【フェイルノート】 …ええ 心して待っていなさい
【フェイルノート】 お前様の目に映る世界が、 私の輝きだけで 満ちてしまうほどに――
【フェイルノート】 この強く大きな「想い」を 受け止めてもらうんだから… 覚悟することね?
自信と決意に満ちあふれた フェイルノートの荘厳な姿…
マスターは目を細めながら、 待っているよ、と やさしく答えるのだった
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