350061212 メギド・獣刻・バロール 蹂躙する魔眼の暴威
敵同然の存在って…… どうしてかな? メギドに尋ねるマスター
【メギド】 私は……誰も信じていません
【メギド】 自分以外のすべてを滅ぼしたい…… そう思っています
銃口をマスターに向ける彼女
しかしマスターは臆することなく、 彼女の方へと突き進んでくる そして……
……仲間の元に戻ろう と、メギドに投げかけた
【メギド】 ……
マスターの足元に、 再度発砲するメギド
【メギド】 なぜ、敵同然の存在なのか、ですか? 貴方は……
【メギド】 清らかすぎるのです
【メギド】 仲間と共に世界を救おうとする その思想は、穢れとは真逆……
【メギド】 仲間と強く強く結ばれようとする、 その思想は実に清らか
【メギド】 でも、だからこそ…… 全てを滅したいと考える 私とは決して相容れない存在
彼女の目を見据え、 マスターが尋ねる それは……恐れているからかな?
【メギド】 !!
【メギド】 な、なにを……!
【メギド】 私がなにを恐れていると……!?
マスターは答える すべてを滅ぼしたいと思うのは……
自分を傷つける可能性のあるすべてを 恐れているからじゃないのかい?と
【メギド】 …………
【メギド】 貴方を見定めようとしていたけど…… 見抜かれていたのは、 どうやら私の方だったみたいですね
銃を下ろし、 彼女がマスターに語り始めた
【メギド】 貴方を…… 姫達を敵同然と言ったのは……
【メギド】 貴方の言う通り、 私を傷つける存在になるかも 知れないから
【メギド】 貴方達が、私に家族のように 接すれば、接するほどに……
【メギド】 裏切られるんじゃないかと……
【メギド】 恐くなる
【メギド】 どうしても、貴方達を 信じ切ることが出来ない……
【メギド】 そして…
【メギド】 本当は分かっている
【メギド】 誰も信用できない 私の心こそが……
【メギド】 最も穢れているのだと
そう呟く彼女に、マスターは応える 僕はそうは思わないけど
【メギド】 ……
そんな君が……いつか心穏やかに 過ごせる日が来ることを願っているよ ……と
【メギド】 …わ…私は……
――と、なにかを言い掛けた時、 マスターが突然、彼女を突き飛ばした
【メギド】 何を……!?
と、次の瞬間――
マスターの体の上に、 小さな瓦礫が落下した
【メギド】 ……!
先程のメギドと魔獣の戦いで、 脆くなっていた箇所が 落ちてきたのだ
【メギド】 マ、マスター!!
痛てててて…大丈夫? と尋ねるマスター
【メギド】 それは… 貴方の方よ……
額から血を垂らしながらも、 優しく彼女を見つめるマスターに、 メギドは尋ねる
【メギド】 な、なぜ、そこまでして…… 私のことを……
マスターは、 彼女の目を見つめて答えた
世界も救いたいけど…… もちろん目の前にいる 君も救いたいからね……と
【メギド】 !!
本物の家族でも傷つけあうことはある
裏切られるのは確かに辛い それでも、世界全てを敵と 見なして一人傷つくよりは
辛いとき、苦しいとき、 誰かが側にいてくれる方が 良くないかな
少しだけでいいから 信じてみてほしい
屈託のない笑顔でマスターが 手を指し伸ばす
【メギド】 ……
マスターの優しい目を見つめ、 呟く彼女
【メギド】 人の心や痛み、そして絶望……
【メギド】 貴方の目は…… 魔眼である私には見えない、 色んなものが見えているようですね
【メギド】 いつの日か、 私も安心できる日々を 過ごしたいですわ
【メギド】 今は、まだ信じることが 出来ませんが……
【メギド】 それでも私は貴方を信じたいです
【メギド】 マスター
微笑む彼女
その目は、魔眼と呼ぶには あまりにも穏やかだった
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