350171213 グリモワール・獣刻・ニーズヘッグ 怨炎の焦土
【グリモワール】
トレイセーマにいた頃…
敵を駆逐しても、
特になんの感情も湧かなかった
【グリモワール】
そして…
仲間さえ顧みず戦っていた
【グリモワール】
でも…この隊に入ったあの日、
道端で死んでいる
キツネを見つけたときに…
【グリモワール】
そのキツネは、
戦いに巻き込まれたわけでもなく、
【グリモワール】
ただ何者かに撃たれて、
命を落としていたわ
【グリモワール】
そして、そのキツネの側には…
ずっと弱々しく鳴いている
子ギツネがいた…
【グリモワール】
親を失ったこの子も、
きっと自分の力だけでは
生き抜いてはいけない…
【グリモワール】
その姿を見て…
ワタシは不意に魔導書にあった
蘇りの魔術を思い出したわ…
【グリモワール】
でも…
一度死んだ者は…
死ぬ前の姿では戻せない…
【グリモワール】
ワタシの魔術でも…
それは叶わない……
【グリモワール】
その時、なんだか無性に…
【グリモワール】
弱者を虐げる者に…！
【グリモワール】
いとも簡単に命を奪い去る
この理不尽な世界に！
【グリモワール】
胸の奥底から沸々と
怒りがこみ上げてきたの！！
彼女の怒りの根源、 そして『死者の怒り』という言葉
それは “理不尽な世界を嘆く死者の怒り” だったのだ
【グリモワール】
この世界には、
そうして命を奪われた者たちの
怨念が渦巻いている
【グリモワール】
その怒りに応えることこそが…！
世界を救う唯一の行動だと
ワタシは思うの…
【グリモワール】
そのために今も日々、
戦っている…！
【グリモワール】
だから…お菓子作りなんて…
【グリモワール】
でも……
それまで強気だった彼女の語気が、 途端に弱くなった
【グリモワール】
ワタシは…正しいよね？
【グリモワール】
世界から理不尽をなくすため、
怒りに突き進むのは…
間違いじゃないよね…？
マスターは、 彼女のそんな不安な顔を 初めて見た…
きっと彼女も、 ギリギリのところで せめぎ合っていたのだろう…
【グリモワール】
ねぇ、マスター…？
そんな彼女の問いに対し、 なにも答えず進んでいくマスター
【グリモワール】
どうして…
なにも言ってくれないの…？
【グリモワール】
やっぱり…
ワタシが間違ってるんだ……
彼女の顔が余計不安に歪んだ
すると……
【グリモワール】
……！
【グリモワール】
わぁっ……！
突如、目の前に広がった大きな森 戦禍から忘れ去られたかのような 手つかずの自然が広がっていた
そして、マスターが彼女にこう言った
きみの『怒り』は、 悲しみの裏返し
【グリモワール】
…！
悲しみを知っている人は…
【グリモワール】
その悲しみを…怒りにも、
『優しさ』にも変えられる…？
マスターの言葉に、衝撃を受ける彼女
【グリモワール】
…今までのワタシは……
【グリモワール】
『怒り』にしか変換していなかった…
【グリモワール】
でもマスターは…
優しさに変えることも
出来そうだね…
【グリモワール】
ワ、ワタシにも…
【グリモワール】
出来るかな…？
不安な瞳を覗かせる彼女に、 もちろん！ と答えるマスター
きみなら、 怒りを優しさという名の 強さに変えることが出来るよ！
【グリモワール】
……う…うん！
優しさを……強さに！
マスターのバイブスと 共鳴した彼女は、 己の力を解放する
それは新たなスキル 『怨炎の焦土 -ドレッド・ジャッジ-』 に目覚めた瞬間だった
【グリモワール】
もう、あのキツネの親子みたいな存在や…
【グリモワール】
理不尽な戦禍に巻き込まれる人々を、
もうこれ以上出さない！
【グリモワール】
この森のように静かで美しく…
みんなが安心して暮らせる
世界を作るために…
【グリモワール】
ワタシは戦うよ！
力強く宣言する彼女
【グリモワール】
ねぇ、マスター！
【グリモワール】
キミにはワタシの隣で、
その様子を見せてあげる
【グリモワール】
だから…感謝なさい♪
と、ニカッと快活に笑う
その目には希望の光が差していた
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