350311214 ソロモン・聖鎖・アテナ 理砕『女神の輝眼』
【ソロモン】
捉えたわ！
グラウ、展開して！
【グラウ】 お任せを
香草を探し、ハルモニア領の外縁を 再び訪れたソロモンとグラウは 見張りのハルモニア兵達と交戦…
たちまち兵達を蹴散らし あたりには静けさが訪れた
【ソロモン】
さあ、邪魔者はいなくなったし
改めてここで香草集めを…
あれ？グラウ、どうしたの？
【グラウ】 損傷軽微…ですが 機能に若干の不調が疑われるため これより自己診断を行います
【グラウ】 私が自己診断状態に 移行するまであと ５秒、４、３、２――
【ソロモン】
えっ
そんないきなり、急に…
【グラウ】 ――ゼロ テストモード開始
突然グラウは その場で動きを止めてしまった 困惑するソロモン
【ソロモン】
こんなこと今まで
なかったと思うけど…
グラウ、手伝えることはない？
【グラウ】 いいえ 特には
【ソロモン】
さっきの戦闘で
どこか変なところをぶつけた？
【グラウ】 その可能性はあります
【ソロモン】
機能の不調ってどういうこと？
ネジが１個取れたとか？
つけてあげようか？
【グラウ】 いえ そうした単純な物理的エラーでは ありません
【ソロモン】
うーん…だったら
気分が良くない感じなの？
【ソロモン】
そうだ！香草をかいだら
グラウも気分爽快に…
なんてわけにもいかないか
【グラウ】 テストモード進行中 私のメンタルモデルに 支障はありません
【ソロモン】
ああ、もう
どうすればいいんだろう
【グラウ】 機能回復まで しばらくお待ちください
【ソロモン】
だけど…
ただ待てって言われてもね
ソロモンはゆっくりと グラウを撫で始めた
【ソロモン】
どう？なおりそう？
【グラウ】 有効な修復手段ではありません しかし行為は無駄ではありません ソロモン
【ソロモン】
…どういうこと？
【グラウ】 貴方の感情は理解できます なりふり構わず、誰かのために なにかを叶えようと試みる…
【グラウ】 それはまるで 常日頃、あの姫達を率いている マスターのようです
【ソロモン】
え！？
わ、私があの
マスターみたいなことを…！？
【グラウ】 はい、現在のソロモンは マスターから多大な影響を 受けていると診断されます
【ソロモン】
べ、別に私はマスターの
真似をしてるつもりは
なかったんだけど…
思わず上気するソロモン その顔を見てグラウは 翼をはためかせた
【グラウ】 テストモード完了 自己診断終了…機能回復
【ソロモン】
あれ、もうなおったの
【グラウ】 はい、ソロモン 試しに貴方の心理と健康について 再測定したところ…
【グラウ】 私の測定機能は 不調ではなく、正常でした たとえば――
【ソロモン】
たとえば？
【グラウ】 貴方の一時的心拍上昇や 呼吸の乱れは、マスターに対する 心情に由来するものと把握
【グラウ】 そうであれば数値は 想定の範囲内 まったく、異常なし
【ソロモン】
…異常なわけないじゃない
どう言われても私、
自分の意志を曲げる気はないから
【グラウ】 ソロモンの熱量 さらに増大… 至って正常、健康、健全
【ソロモン】
ふぅ…
グラウ？
もっと香草を集めようよ
【ソロモン】
マスター一人のためだけじゃなくて
その…いろんな人に
気分よく過ごしてもらえるように
【グラウ】 マスターを含めた あらゆる『誰か』のために というわけですね
【ソロモン】
そうね…『誰か』のため
仲間の、皆のためよ
私、役に立ちたいんだから
【グラウ】 では改めて 極上のものを調達しましょう
【ソロモン】
ええ…
グラウ、一緒に検索して
ソロモンはグラウとともに 動植物の声に耳を傾け… 最良の香草を探し出そうとする
理砕『女神の輝眼』 ソロモンが皆のために使う新たな力 その片鱗がここに現れていた
【ソロモン】
よし、見つけた…
この場での最適解の一株は
手に入ったわ
【グラウ】 しかし、この分量の香草では 仲間の姫達全員に行き渡らせるには 不足しています
【グラウ】 そして、この地域で獲得できる 状態の良い香草は もう残っていません
【グラウ】 これまでの戦闘で、ほとんど 吹き飛んでしまいましたので…
【ソロモン】
分かった、グラウ
次はもっと範囲を広げて再検索
【ソロモン】
見つけられるならどこにでも向かうわ
私は、たとえケイオスリオンでも
トレイセーマでも…
【グラウ】 行くのですか…計画は？ 数式の準備は？
【ソロモン】
ないけど
最適解はその場で出せばいいの
そうでしょ？
【グラウ】 …変わりましたね、貴方は
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