40056201 与一_制服ストーリー 私が憧れている人
放課後―― オレンジに染まった階段を マスターはゆっくり登っていく
屋上の荷物を理事長室に 運ぶよう、デュリンに お願いされてのことだった
重い鉄の扉を押すと 暮れかけの夕日が 一瞬視界を奪った――
【与一】 あれ…… マスター、こんな時間に どうしたんですか?
屋上には先客がいた 弓道部の与一が 一人読書をしていたようだ
【与一】 なるほど… 理事長のお手伝いですか ご苦労様です!
いつもの爽やかな笑顔…に見えたが 目尻がキラリと 光って見えたような気がした
【与一】 え……? 泣いてた……?
【与一】 あ、いえ! えっと、あれです… この本を読んでいて!!
与一は顔を隠すように マスターに本を突き出した
【与一】 最近ちょっとした 悩み事がありまして…
【与一】 この本の登場人物にですね? ついつい感情移入してしまって…
照れ笑いする与一 しかし、目には寂しそうな色が 浮かんだままだった
【与一】 マスターは… 憧れている人とか いませんか…?
そういえば… と、マスターは思い浮かべる
【与一】 ふふ… いるんですね…!
【与一】 ……その人が 当然いなくなってしまったら…
【与一】 マスターは、どうしますか…?
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