416025041 ロストラグナロク編サイド 未分類 ロストラグナロク サイドストーリー ロストラグナロク -獣廻るディストピア- ストーリークエスト 5 - -獣廻るディストピア- 第4話 -獣廻るディストピア- 第4話 -獣廻るディストピア- 第4話 戦闘前
【マサムネ】 …話せずにいたがな
トレイセーマ ウロボロスの巨城の広間
砕かれた自身の氷の上…
【マサムネ】 拙者が今の今まで… 最後まで付き従ったのは…
マサムネは 何本もの紅蓮の矢に貫かれ 地に縫われていながら口を開く
【マサムネ】 国ではない 王でもない 自分の意志や私情など挟みはしない
【マサムネ】 従ったのは 秩序だ
【マサムネ】 蛇の道は蛇だと、感じた
【マサムネ】 だが、今は、どうだ…?
外の戦闘の音が 落ち着いてくるのがわかる
マサムネは独り 静寂の中 姿のない相手に語りかけ続ける
【マサムネ】 …今頃、だがな
【マサムネ】 誠に、考えが足らぬ
【マサムネ】 !
広間の扉を斬り破り 突入してくるムラマサ
【ムラマサ】 …!?
【マサムネ】 ムラマサ…!?
【ムラマサ】 姉上!!
ムラマサは 横たわるマサムネを発見する
【マサムネ】 ムラマサ! 来るな!!
駆け寄ろうとするムラマサを 制止させようと声を張るマサムネ
【ムラマサ】 いま参ります!姉上!!
制止を無視し マサムネに走り寄るムラマサ
【マサムネ】 ムラマサッ!!
【ムラマサ】 !?
駆けるムラマサの元に いずこからか飛んでくる無数の矢
【ムラマサ】 たぁぁぁっ!!
しかし、ムラマサは瞬時に反応する
マサムネへ走る足を止めず 自身の八刀に風を纏わせ 無数の矢を弾き飛ばすムラマサ
【マサムネ】 !!
【ムラマサ】 姉上っ!!姉上っ!!
ムラマサはマサムネの元に辿り着くと マサムネを地に縫っていた矢を抜き 抱き起こす
【ムラマサ】 ご、ご無事ですか…!? 姉上…!!
【マサムネ】 あ、ああ、無事とは言い難いが…
【マサムネ】 それよりムラマサ そなた、ケガはどうした…!? どうしてここまで、無事に…!?
【アルテミス】 …
物陰から姿を現すアルテミス
【ムラマサ】 アルテミス…!
【アルテミス】 …随分、頭が働くようになったな
【ムラマサ】 ………平時、容赦のない貴方が標的を あえて生かすことなどありません 生かすのであれば狙いがあってのこと
【ムラマサ】 姉上を囮に不意をつこうとは 随分と消極的な真似をしますね
【マサムネ】 ムラマサ、そこまで…!
姉への情に飲まれることなく 戦いに頭を巡らせることが 出来るまでに成長したムラマサ
その姿に驚きと 複雑な念を抱くマサムネ
【アルテミス】 …
アルテミスは無言で ムラマサを見つめる
【ムラマサ】 いえ 姉上にとどめを刺さなかったのは… あるいは…
ムラマサはアルテミスの瞳に もう一つの可能性を見る
【カシウス】 あるいは… あなたも私と同じ、なの?
ムラマサの背後より カシウスが追いつく
【カシウス】 何も持ちえない 空っぽで
【アルテミス】 ………わかったような口をきく
アルテミスは目を泳がせる
【アルテミス】 マサムネ… 最後まで付き従ったのは 秩序だと…?
【マサムネ】 …ああ
【アルテミス】 ならば、なぜ 最後の最後まで 従わない…!?
【アルテミス】 きっ、決まりは、皆で守るもの そうだろう…!?
【アルテミス】 なぜ、私は味方に 制裁を加えなければならない…! いつまで…!!あなたにまで…!!
【マサムネ】 秩序に従っていたさ
【マサムネ】 我が国の秩序そのものであった そなただから、ついていたのだ …アルテミス
【アルテミス】 !?
【マサムネ】 しかし、今となっては その秩序こそ、乱れたものと なってしまったことは明白…
【アルテミス】 従う秩序なくして 生きられはしない!
【アルテミス】 主への恩義 忠義こそ生きている証だ!
【マサムネ】 だからこそ 今頃、だったのだ
【アルテミス】 な、に…!?
【マサムネ】 最後まで、主とそなたへの恩義に 報いたいと思っていたのだ
【マサムネ】 たとえ、誤りに気づいたとしても 考えぬように、見ぬように そうしていたのだ
【マサムネ】 だが…
【アルテミス】 秩序は動かない 規律は定まったままだ…! 乱れることなど、ありえない…!
【アルテミス】 変わったとすれば あなたが卑劣にも心変わりした ということに他ならない…!!
【カシウス】 世界が、動いているのよ
【アルテミス】 …!?
【マサムネ】 ───下剋上がなぜ起きるのか 知っているか
【アルテミス】 そんなもの…!
【マサムネ】 それが起きうる 社会秩序となっているからだ
【アルテミス】 …ッ!?
目を見開くアルテミス
【マサムネ】 体制の側から 見ていたのだ
【マサムネ】 急激に人口と国土を増やし続けた 我が国トレイセーマ
【マサムネ】 社会は拡がり、結果として そこに新しき秩序が、意志が 生まれ始めた
【マサムネ】 上から全てを監視し 管理するような社会では 成り立たぬ所まで来てしまった
【マサムネ】 無理に古き秩序に押し込めようとも それは『個』を無視した 過剰な圧迫となる
【カシウス】 そう もはや、この国に秩序などないの
【アルテミス】 わ、私が従っているのだ! 存在するのだ!ここには! 秩序が、規律が…!!
【カシウス】 いいえ ここにあるのは 支配と従属
【カシウス】 死ねと言われれば 尻尾を振って従う意志無き家畜
【カシウス】 空っぽ
【カシウス】 空しいわ…
【アルテミス】 …わ、わた、し、は…!! ち、ちがう、ちがう、私は
【アルテミス】 わ、私が、家畜………ッ!?
アルテミスは 手にした弓を握り締め、言葉を探すも 見つからず…
困惑を極めるアルテミス
【カシウス】 あなたは、どこにいたの? そこでなにをしていたの?
【カシウス】 いろいろ教えて そして、何もない私を満たして
【アルテミス】 …!?
【カシウス】 あなたが言う秩序って、何
【アルテミス】 ち、秩序に、従ったのだ…! 私は、私が、いや、ちがう…
支離滅裂に言葉を繋ぐアルテミス
【マサムネ】 アルテミス…!
【アルテミス】 マサムネ、私は…!!
【アルテミス】 私は、本当は………!!
【???】 末端に意思は不要 服従か死か それだけだ
【ムラマサ】 ッ!! ウロボロス!?
突如 アルテミスの背後に現る巨体に 刀を構えるムラマサ
【アルテミス】 ご、ごしゅじん、さま…!?
【アルテミス】 あゥァアッ!?
ウロボロスは巨大な腕で アルテミスの頭を鷲掴みにすると その爪をめりこませる
【マサムネ】 アルテミス!!!
ウロボロスが掴み上げた アルテミスの体が盾となり マサムネ達は手を出せない
【アルテミス】 ご主人様っ…!?何を…ッッ!? お離しくだ、さい………!!! 頭がっ、割れて、しまいますっ…!!
ウロボロスがアルテミスの頭蓋を握り メリメリと骨がきしむ
【ウロボロス】 洗い流さねば 脳から
ウロボロスが アルテミスの瞳を覗き込む
【ウロボロス】 無用な考えは 全て…
【アルテミス】 ご主人様ッッ!! アルテミスはっ、従順です!!
【アルテミス】 ですが、わからないのです! なぜ、皆が離れていくのか なぜ私だけ、取り残されて…!!
【アルテミス】 それさえ、お教え頂ければ アルテミスは、ご主人様の為に なんであっても………ッッ!!
【ウロボロス】 考えるも無駄 悩みも邪魔よ
【アルテミス】 アァアアァァァァアアアァッ!?!! ウァァァアアアァッ!!!
【カシウス】 …!!!
アルテミスの視界が ウロボロスの眼に満たされ 直接的な洗脳がなされていく
【アルテミス】 ァ………ッ ウウウァァッ…
アルテミスは瞬く間に 抵抗をやめてしまう
【アルテミス】 うっ、ウッ、ウアアッ
アルテミスはウロボロスの手から離れ よろよろと膝をつき その場に座り込む
【ムラマサ】 …あ、アルテミス………!?
ムラマサは身構えつつ アルテミスに声をかける しかし…
【アルテミス】 …
【アルテミス】 ………ハッ ハハハハハハッ…!!
【アルテミス】 どこだぁ…!?
【ムラマサ】 え…!?
【アルテミス】 制裁を加える相手は どぉこだぁぁぁ…!!
アルテミスは四つ足で 立ち上がりながら 辺りを見回す
【アルテミス】 誰か、誰か、誰か
【アルテミス】 教エテクダサイ
【アルテミス】 ワカラナいんでス
【アルテミス】 わからねえんだよおォぉっ!!
アルテミスは 情緒不安定なまま 力を吐き出す
赤の雷が広間の天地を喰らい 稲光が幾度も走る
【ムラマサ】 …さがっていて。カシウス
【カシウス】 ムラマサ…
【ムラマサ】 オロチの力を解放する…!
【ムラマサ】 アルテミス 貴方の目は曇ってしまっただけ
【ムラマサ】 風を秘めしこの刀で 悪しき雲を吹き飛ばしてみせる
【アルテミス】 ガアァァアァアァァッッ!!!
黙示録の獣の雄たけびが響く中 ムラマサは風を纏い 刀を握る
【マサムネ】 …迷わず、戦いに臨むか
【マサムネ】 自らの考えに従い 力に溺れることもなく…
【マサムネ】 強く、なったのだな
風が吹く中 マサムネは、呟く
【マサムネ】 拙者など、いなくとも
【ムラマサ】 いいえ。姉上
【マサムネ】 ?
【ムラマサ】 姉上は いつも ここに
ムラマサはマサムネから預かった 助太刀の力を示す
【ムラマサ】 拙者は、この力を姉上に返す術を 今はまだ知りませぬが…
【ムラマサ】 いてくれなくては困ります そうでなければ…
【ムラマサ】 拙者は、誰に甘えれば?
構えを崩さず 横目でマサムネに笑いかけるムラマサ
【マサムネ】 …!!
【マサムネ】 …頼ってくれるのだな こんな拙者を、まだ…
【ムラマサ】 無論ですっ
【ムラマサ】 拙者は、妹なのですから
マサムネはムラマサに肩を借り 立ち上がると、ボロボロの腕で 刀を持ち上げる
【マサムネ】 つくづく、不甲斐ない…!!
氷を傷口に這わせ なんとか出血を留めるマサムネ
【マサムネ】 ならば いや、なればこそ 妹の為にも…
【マサムネ】 もう一肌脱ごうか
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