Phantom of the Kill

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50291202 アルベル 『爆裂弾ベータ』

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ふんだりけったりである

まずバズーカの試射は 想定していた数値以下の 破壊力しか出ない散々な結果だった

そしてその帰路 アルベルは肩を落としながら彷徨い …見事に迷子になった

来たばかりの世界なのだ 当然といえば当然だろう

502911.png 【アルベル】 ここ…どこ…?

502911.png 【アルベル】 ナビは…やっぱりダメ 通信機も…ああ、もう…!

自慢の新兵器であるバズーカが ずっしりと重く感じる

502911.png 【アルベル】 なんとか言いなさいよ あなたも…!

新兵器は もちろん何も言わない

502911.png 【アルベル】 …

502911.png 【アルベル】 帰るの 私は…

502911.png 【アルベル】 力になってよ…

その瞬間、アルベルは唐突に 名前を呼ばれ、反応する

驚いたアルベルが振り向いた先には やっと追い付いたマスターがいた

502911.png 【アルベル】 ………… あ…

選択肢:

………… あ…

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502911.png 【アルベル】 …う、ん…いちおう…

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502911.png 【アルベル】 …だったら、よかったんだけど

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502911.png 【アルベル】 …ふ、ふざけてるの…?

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502911.png 【アルベル】 …どうして、ここが

バツが悪そうに目をそらすアルベル

頭上から小型の飛行ロボが舞い降り マスターの周りを上機嫌に飛び回る

502911.png 【アルベル】 私の、ロボ… 私以外に懐くの、初めて見た

主の居場所を発見し すぐに誘導した飛行ロボの 優秀さを称賛するマスター

502911.png 【アルベル】 …………ふっ ふふっ 当たり前じゃない

502911.png 【アルベル】 私の力になってくれるよう プログラミングしてるんだから

502911.png 【アルベル】 別に、これぐらい当然だし…

マスターと目を合わせることなく 濃いピンク色の髪をくるりと 指先でまわすアルベル

502911.png 【アルベル】 …でも…………

言葉を飲み込もうとするアルベル その言葉を聞き出そうと、ゆっくりと 耳を傾けると…

502911.png 【アルベル】 …ごめんなさい

そう呟いたアルベル いつもの自慢げな瞳は すっかりと曇ってしまっていた

502911.png 【アルベル】 機械はみんな優秀で どれもこれも …………だけど…

アルベルが目線を落とした先には ただ、地面に横たわり 物言わぬ新兵器があった

502911.png 【アルベル】 私は今 コイツみたい

502911.png 【アルベル】 迷子で…重っ苦しくて… ろくに動きもしない 主のことも考えられなくて…

502911.png 【アルベル】 ほんと… めんどくさい性格してる、私

飛行ロボが警鐘を鳴らす 敵に囲まれているらしい

502911.png 【アルベル】 ほら、まただ 私のせいで めんどくさいことになって…

アルベルは伏し目のまま めんどくさそうに腰を上げた

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似ている気がした

アルベルがこの世界に来た時に 目に入った教会の光景と…

敵を振り払い 朽ち果てた教会に辿り着く アルベルとマスター

502911.png 【アルベル】 はぁっ、はぁっ、はぁっ… もぉ…基本インドアなんだから 走らせないでほしいのに…

大量の異族が追って来たのだ 異世界の来訪者を 珍しがるかのように

選択肢:

大量の異族が追って来たのだ 異世界の来訪者を 珍しがるかのように

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502911.png 【アルベル】 少し、はぁ、安心した…

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502911.png 【アルベル】 ええ…? そ、そう?

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502911.png 【アルベル】 え、ふざけてるの?

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担いでいた新兵器を 胸元でギュッと抱きしめるアルベル

抱きしめられた新兵器は 動かないのかと、 そっとアルベルに問いかける

502911.png 【アルベル】 足りないの。この世界の部品じゃ… ありあわせてみてはいるけど ろくには…

502911.png 【アルベル】 …少しでも早く、 力になりたい…って そう、思ってるのに

アルベルの目が、少しだけ光っている

502911.png 【アルベル】 …だって、しゃくじゃない みんなとの時間を独りで費やしても 結果は、これで…………

視線を返すことができないアルベルは マスターから目をそらす

その先には 見慣れた小さな影

アルベルの小型二足歩行ロボが 短い脚を必死にばたつかせて 瓦礫の中から走り寄ってくる

502911.png 【アルベル】 どうして独りで… 危ないでしょ

飛び込んでくるロボを 安堵と心配の表情で しっかりと抱きしめるアルベル

502911.png 【アルベル】 なにかあるまでは待機って 外は危険だから…なのに…

502911.png 【アルベル】 ふふっ………… 周りが見えないの…? 造り主に似て

アルベルは嬉しそうに、 それでいて自身への嘲笑混じりに ロボの瞳を覗き込む

アルベルの力に なりたいんだろう、この子も と、彼女の言葉を借りるマスター

502911.png 【アルベル】 …………!

ふと、ロボがバズーカの元へ向かい

バズーカをぺたぺたと触ると その小さな胸を控え目に張る

そして…

ロボは誇らしげに アルベルへ小振りなネジや部品を 差し出した

502911.png 【アルベル】 …!?

502911.png 【アルベル】 え、え、これ…?

502911.png 【アルベル】 探してくれたの…? 足りない部品を…

マスターは思い出す 飛行ロボに導かれ ここに辿り着いたこと

先程、瓦礫から顔を出したロボは 日夜、アルベルの作業を 見守っていたこと

彼らは アルベルの力になるよう プログラミングされていたことを

502911.png 【アルベル】 私、力を借りても いいのかな…………

ロボの瞳が語る 別に、このぐらい当然だ とでも言うかのように

502911.png 【アルベル】 …借りるわ

部品はロボの手からアルベルへ そして “新兵器”へ組み込まれていく

音とともに起動したバズーカは 小さく、それでいて頼もしく 電子の咆哮を上げる

502911.png 【アルベル】 …………!

502911.png 【アルベル】 …そうよね、部品ひとつふたつ 足りなかっただけだもの

502911.png 【アルベル】 わかってたのに …私、ずっと焦ってた

502911.png 【アルベル】 この世界で、拾ってもらって なのに、なんにもできなくて…

502911.png 【アルベル】 独りで頑張らなきゃって… じゃないと、この知らない世界で 生きていくことなんてできないって

502911.png 【アルベル】 だけど この子のネジ あったかくて…

502911.png 【アルベル】 …この子が…この子たちが 気づかせてくれた …私は、独りじゃないってことを

造り主に、似てるね

502911.png 【アルベル】 …………! そうかな…?

アルベルが マスターの瞳を見つめる 初めて、真っすぐと

502911.png 【アルベル】 私も …………

何かを、口にしたアルベル だけどその口の動きは マスクに隠れてわからず

502911.png 【アルベル】 もう、言わない

ぷいっと顔をそむけるアルベル と、その時…

飛行ロボが警鐘を鳴らす 敵が追いついてきたらしい

502911.png 【アルベル】 丁度いいじゃない 試射、するわ

アルベルは気だるげに バズーカを構え その引き金を引く

それはまさしく新スキル 『爆裂弾ベータ』 に目覚めた瞬間だった

弾頭が尾を引き 入口に大挙していた敵に着弾 大爆発と共に、敵を一掃する

502911.png 【アルベル】 試射、完了 …うん、いい感じ

その瞬間、アルベルと目が合う アルベルは強い眼差しでこちらを 見つめてきた

新兵器が主の力になったように 彼女もまた、マスターの力に なってくれる…

そう確信するには 十分な意思を持った眼差しを マスターは暖かく見つめ返した

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