50342211 メラ 怠惰に誘う少女
とある町から救援要請を受け 移動中のマスターとキル姫達
途中、通りかかった森の中で 魔獣と遭遇してしまい 応戦を余儀なくされていた
消耗を避けたいマスターは 魔獣をやり過ごせる場所がないか 探した結果、一軒の小屋を見つける
そこに佇むひとりの少女の姿も…
【???】 …………
【魔獣】 ガアアアアアアアアア!
無防備に見える彼女へ 魔獣達が容赦なく襲い掛かる
危ない! と、叫ぶマスターだったが…
【???】 はぁ、面倒くさいなあ…
なんと、その少女は 自分に襲い掛かる魔獣達を こともなく倒してしまった
あっけにとられたものの、 キル姫達に指示してその少女に 加勢してほどなく殲滅できた
すさまじい魔法の使い手の少女… 力を貸してくれたら大いに助かる
そう思って、戦闘が終了後 マスターは声をかけた
【メラ】 …あたしはメラ
名乗ることしかしないメラに こんなところで何を? と質問を重ねるマスター
【メラ】 …何も あたしはただ、 『怠惰』な時を過ごしているだけ
メラはマスターの顔をじっと見て 何かを見透かしたように目を細めた
【メラ】 あなたの言おうとしてること わかるよ 当ててみようか
【メラ】 「従え」 「その力を俺のために使え」 …図星でしょ
突き放すように言われて ぜひ協力して欲しいんだ、という 出かけた言葉を呑み込むマスター
【メラ】 やっぱり… 人間なんて、結局みんなそう
【メラ】 あたしは誰にも従わない
【メラ】 あんまりしつこくしてきたら この森ごとあなた達、 消えちゃうかもね
そう言って小屋に戻っていくメラ その背中に、マスターは 深い絶望を感じ取る
彼女から感じる絶望が どれほどのものか分からないものの、 放っておくことができず
メラを追うように マスターは小屋へと踏み込んだ
【メラ】 …どうしてついてくるの さっきのが脅しじゃないって わかってるよね
従え、と言いに来たんじゃない 人を助けるために協力して欲しいと お願いしにきたんだ、とマスター
【メラ】 一緒だよ あたしの力を利用しようとしてる
【メラ】 第一、人を助けてどうなるの? 助けても助けなくても いつか死んでしまう弱い存在なのに
【メラ】 死という結果を変えられないなら あなたが頑張る意味はないよね
【メラ】 そう、全ては無意味… だからこそみんな 『怠惰』を受け入れればいいのに…
【メラ】 あ、そうだ あなたも面倒なしがらみから逃れて ここで暮らしてもいいよ?
【メラ】 いつか終わる命だし もっと好き勝手に 楽しく過ごそうよ
無意味かどうかなんてわからない 今、やるべきことをやるだけだ と、マスターはその誘いを断る
【メラ】 へえ あくまで頑張るつもりなんだ
【メラ】 それならいいよ あたしにも考えがあるから
メラは不敵に言って マスターの目の前から 姿を消したかと思うと…
【メラ】 よいしょっと
マスターが気が付いた時には 縄で手足を縛られ 動けなくされてしまっていた!
【メラ】 いいでしょ、そのカッコ それなら頑張りたくても 頑張れないね
【メラ】 助けられる人も助けなくていい 縛られているあなたには 何もできないんだから、仕方ないよね
【メラ】 ふふ… このまま一緒に怠惰へ 堕ちていこうよ
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