50342213 メラ 「虚刻」オーバー
【メラ】 ねえ、どうしてそんなに急ぐの? そこまで頑張ることに、 意味はあるのかな
【メラ】 ほら、少しくらい 休んでもいいんじゃないかな
【メラ】 あそこの木陰で休憩したら きっと気持ちいいよ
マスターと行動を 共にすることになったメラだが
怠惰なほうへ 引きずり込もうとするのは 相変わらず
もはや、キル姫達も いつもの光景だと 気にも留めなくなっていた
【メラ】 …へんなの
そう呟くメラに どうしたの? と、聞くマスター
【メラ】 あたしがあなたを拘束した時 余計なことしたら 命を奪うつもりでいたのに…
【メラ】 今、彼女達は、あたしの同行も あなたへの接近も許している
君がそれだけ戦いで 活躍しているからだよ と、マスターは言う
【メラ】 …うそ あたしが睨まれていないのは あなたが手回ししたからでしょ?
【メラ】 へんなの、って言ったのは あなたに対して
何のこと…? と首を傾げるマスター
【メラ】 あたしがあなたを拘束した時 彼女達に対して あなたの命を盾にしようとした
【メラ】 でも、あなたはあたしの言葉を遮って 「僕は大丈夫だ」って叫んだ
【メラ】 あれは彼女達をあたしから守るための 方便だと思ってたんだけど…
【メラ】 実は、あたしに脅しの言葉を 言わせないためだったんだね… でなきゃ、遮る必要はないもの
【メラ】 そうすることで あたしがあなたに害をなす可能性を 彼女達から隠した
【メラ】 彼女達は拘束されている間 ずっとあたしを説得していたと 思ってるけど…
【メラ】 あなたへの殺意を見せていたら どう思うんだろうね? あぁ、面倒くさいな…
言い当てられたことに驚きつつ それで、恩を感じてるってこと? と、違和感を覚えるマスター
【メラ】 まさか だからさっき、へんなの って言ったでしょ
【メラ】 あたしが一緒に行くかどうかも わからない状況で そんな風に気を回すなんて…
もし協力してくれた時に 味方から警戒されるくらい 面倒なことはないから、とマスター
【メラ】 面倒なことを避けるために 面倒なことをするなんて やっぱり変なの
そうやって頑張った後に 味わう怠惰は格別だと思うから と、マスターは言う
メラが言う怠惰を もっと味わってみたいからね
だから、僕も君と変わらない と言うマスターにメラは呆れた様子
【メラ】 全然、違うと思うけど… まあ…別に、どうでもいいや
【メラ】 あなたには他の人間みたいに わかりやすい「支配したい」 っていう考えがないのはわかった
【メラ】 そんなあなたが、 もし本当に何もかもを諦めて 怠惰に堕ちちゃったとしたら…
【メラ】 気になって仕方ないな
【メラ】 …決めた
【メラ】 あたしの力、存分に貸してあげるよ マスターがこの先どうなるのか、 近くで見届けるために
【メラ】 だから、つまんない人間になって あたしを飽きさせたりしないでね マスター?
そう言ってメラは 相変わらずの無表情ながら 少しだけ口元を緩めてみせるのだった
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