50351211 カヤ 異世界の観測
――早朝
【カヤ】 さて…じゃあ、行ってくるね
そう言うと、 カヤは大きな荷物を背負い 外へと足を向けた
異なる世界から現れ、 さぞ戸惑っているだろうと思いきや 知的好奇心を満たすのに忙しいようだ
声をかけはするが、 いつも単独で行ってしまう
そのたびにマスターが 慌ててついていくことになる
マスターは、 そんなカヤの背中に向けて 声をかける
【カヤ】 どうしたの? お姉さんはこの世界の観測に 忙しいんだけど?
また遺跡に行くのか、と マスターは問いかける
【カヤ】 当たり前でしょう? せっかくの異世界なんだから この世界のことをもっと知りたいの
【カヤ】 遺跡には、この世界の歩みが 詰まっている…私はそれを紐解きたい
【カヤ】 この世界で生きていくなら なおさら、ね
この世界で生きていくと決めたという カヤの心の内を知りたい
そこでマスターは もう少しカヤと話をしたいと 口にしてみた
【カヤ】 ………… あはははははっ キミ、面白いこと言うね
【カヤ】 お姉さんに構っている時間があるなら 他の子たちのために 時間を割いてあげるといいよ
【カヤ】 キミにはキミの目的があるでしょ? それと一緒 私には…私の目的がある
【カヤ】 お説教みたいでらしくないけど… 私は知りたいんだ それ以上の目的なんてないよ
【カヤ】 …だから、行くね
そう言うカヤの顔に、どこか憂いを 感じるマスター それをそのまま言葉にしてみる
【カヤ】 …どうしてキミは、私のことを そこまで気にするの? 独りがいい、そう思ってるんだけど
マスターがその答えを探していると、 しびれを切らしたのか 微笑みを浮かべて部屋を出て行くカヤ
まだ、問いへの答えは出ていない それでもマスターは カヤの後を追うのだった
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