50351214 カヤ 機紅竜の逆鱗
【カヤ】 いたいた ねえ、ちょっといい?
どこかいたずらっぽい笑みを浮かべ カヤはマスターに問いかける
【カヤ】 お姉さん、ちょっと 行きたいところがあるの …できれば、二人で
幸い、時間はある いいよ、と端的に答えるマスター
【カヤ】 よかった じゃあ、行こっか
【カヤ】 へえ… キミはいつもこの道を通って 買い物をするんだね
【カヤ】 あ、美味しそうな果物 あれは何??
遺跡に連れ出されると思っていた マスターは、戸惑いながら カヤにいつもの道を案内する
カヤの横顔を見ると、好奇心に 満ちた目を様々なものに向けている しかし、なぜ…とマスターは思う
【カヤ】 いいからいいから キミがよく行く場所を 案内してほしいんだ
【カヤ】 次は、どんなところ?
【カヤ】 んー…気持ちいい風 キミは、ここでいつも心を 落ち着けているんだね
今日はどうしたの? マスターは、疑問を素直にぶつける
【カヤ】 キミはいつもまっすぐだなあ
【カヤ】 キミのことを、知りたいなって …そう思ったの
意外な返答に、言葉を失うマスター
【カヤ】 あはは そんなにびっくりしなくても いいでしょ
【カヤ】 …私ね、元の世界に未練があった 残してきた仲間たちがいたから
【カヤ】 もちろんこの世界の遺跡には興味が あったし、そのことを考えないように するための材料には事欠かなかったよ
【カヤ】 …それでも、たまによぎったの 元の世界の仲間たちの顔が
寂しい? カヤに問いかけるマスター
【カヤ】 …寂しいのとは少し違うかな
【カヤ】 でも、今はこの世界で 生きていくことを ちゃんと考え始めているよ
【カヤ】 どうしてだと思う?
少しいたずらっぽく問いかけてくる カヤに覗き込まれ、 マスターが返事に困っていると
【カヤ】 …キミが私を“仲間”と 呼んでくれたから
【カヤ】 あの言葉をくれたから、私は この世界にいていいんだって 初めて思えるようになったの
【カヤ】 初めてこの世界に 受け入れてもらえた…
【カヤ】 なんて言ったら大げさかな …らしくないのは わかってるんだけどね
らしくないかどうかはわからない まだまだカヤのことを知らないと、と マスターは答える
【カヤ】 そうだね ねえ…私は、キミの力になりたい この世界で受け入れてくれた、キミの
【カヤ】 だから、知りたくなった …はは…ほんと、らしくない
らしくなくたっていい 本音を話してくれるようになって 嬉しい、とマスターはカヤに告げる
【カヤ】 …そっか やっぱり、キミって温度高めだね
【カヤ】 この力、キミのために役立ててほしい 改めてよろしくね…マスター
カヤの差し出す その手を握り返すマスター
カヤの手から、そして瞳の奥の光から カヤの強い覚悟が伝わってくる
ふと、柔らかく微笑み 握った手を離すカヤ
【カヤ】 さて、キミのことを もっと聞かせてほしいな
【カヤ】 この好奇心が逃げることはないけど、 早く知りたいって、思うんだ
【カヤ】 …ほんと、らしくない 観測に焦りは禁物なのにね
言葉とは裏腹に、笑みを 浮かべているカヤの顔は晴れやかで、 吸い込まれるような魅力があった
【カヤ】 さあ、聞かせて キミの、ここまで重ねてきた歴史を
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