510013211 マサムネ・擬彩 散りゆくは定め
【マサムネ】 せやっ!はぁっ!
まだ太陽も登らぬ早朝
剣を振る一人の姫が…
【マサムネ】 せいっ!
彼女の名はマサムネ・ 擬彩(インテグラル)
最近、マスターの元に入隊した 新参者だ
【マサムネ】 …!
――と、そこに おはよう、早いんだね とマスターが現れた
【マサムネ】 ………そちらこそ早いのだな
一人でなにしてたの? と尋ねるマスター
【マサムネ】 見ての通り、剣の鍛錬だ
真面目なんだね と、微笑むマスターに 彼女は告げる
【マサムネ】 理想の世界の実現には、 質実剛健な魂が必要だからな
質実剛健な魂…? 首を傾げるマスターに、 答えるマサムネ
【マサムネ】 分かりやすく言えば、 強き心だ
【マサムネ】 強き心を持つ者でなければ、 理想の世界は作れない
【マサムネ】 強き心を持つ者とは、 己の意志を持ち、 それを証明する強さを持つ者
【マサムネ】 真に強い魂を持つ者だ
そう言って、 また鍛錬に戻る彼女
マサムネの高い志はもちろん、 鍛錬を重ねたことによる強さを、 凄いと思うマスター
自分も鍛錬で強くなれば、 僕を守ろうとする隊の姫たちの 負担も軽くなるかもしれない
そう思ったマスターは マサムネにある提案をする
僕にも稽古をつけてくれないかな? と笑顔で頼むマスターに対し、 彼女は…
【マサムネ】 ………
【マサムネ】 断る
【マサムネ】 強き心とは… 誰かに教えられ、 手に入るものではない
【マサムネ】 己の魂で掴み取るものだ
そう言ったきり、 彼女はもうマスターの方を 向くことはなかった
しばらく経って――
【マサムネ】 剣を教えて欲しい…?
隊の姫に 剣術指南を頼まれるマサムネ
【マサムネ】 ……断る
どうして? 尋ねる姫たちに、 彼女は答える
【マサムネ】 そのような色では… 務まらぬ
…と意味深な言葉を残し、 彼女は立ち去ってしまった
その後も彼女は、 隊の姫たちとも 混ざり合おうとはせず、
また、 マスターの言うことでさえも あまり聞こうとはしなかった
マスターは、 そんな彼女が気掛かりだった
そんな、ある日――
【マサムネ】 拙者に異議があるのか?
マサムネの態度に日頃から 不満を持っていた姫たちが、 マサムネを責め立てたのだ
【マサムネ】 協調性がない…?
【マサムネ】 では、言わせて頂こう
【マサムネ】 なぜ拙者が、 そなた達と 交わらないか…
【マサムネ】 拙者が行動を共にするのは、 新たな世界に相応しい 質実剛健な者だけだ
姫たちの目を覗き込み、 マサムネが言い放つ
【マサムネ】 そなた達の魂は…
【マサムネ】 つるむことで安心し、 心が脆弱になった者の 濁った色をしている
なによ、それ!? マサムネの上から目線の言い方に、 姫たちが怒りを露わにした
【マサムネ】 では、そなた達が本当に 新世界に相応しい存在かどうか… 見定めさせてもらう
【マサムネ】 拙者と一対一で、 正々堂々勝負せよ!!
姫たちに決闘を申し込むマサムネ ここまで言われては、と 決闘を受け入れる姫たち
姫たちと剣をぶつけ合いながら、 マサムネは叫ぶ
【マサムネ】 弱き者は散れ! 新たな世界を染めるは、 強き魂の色だ!!
そして、瞬く間に 全ての姫を打ち倒してしまう
【マサムネ】 これが真実だ そなた達は弱い
倒れ、苦しむ姫たち そこにマスターが駆け付ける
なんでこんなことを!? と、マサムネに詰め寄るマスター
【マサムネ】 ………
だが彼女は無言を貫く
隊に馴染もうとしない マサムネは不要だと、 マスターに訴える姫たち
【マサムネ】 ……心得た
【マサムネ】 味方を傷つけてしまった以上… もう隊にはいられない
【マサムネ】 忠義を欠いた不届き者は…… 潔く去ろう
待って!話を聞かせてくれ! マスターの制止も聞かず、 彼女はその場を後にするのだった
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