510014212 マサムネ 黒式・憤怒切裂ク黒銃
話を聞かせてくれる? マスターは優しくそう言い、 マサムネの言葉を待つ
深い森の中、 マサムネは胸の内を マスターに打ち明け始める
【マサムネ】 拙者はこれまで…… 黒奏官として、 奏官やキル姫たちを罰してきました
【マサムネ】 それは拙者にとって、 心が痛む過去…
【マサムネ】 着るもの、武器が変われば…… その呪縛から抜け出せるのでは… 変われるのでは……
【マサムネ】 そう思っていた……
【マサムネ】 だが…………
【マサムネ】 朱殿や美佳殿、 弥生殿の話を聞いて 知ってしまったのです
【マサムネ】 この服や武器は、 犯罪係数と呼ばれる数値が高い、 『潜在犯』を罰する者が身に着ける証
【マサムネ】 そう、罪ある者を 罰するためのものであると……
【マサムネ】 変われることを期待したが…… なにも変わってはいなかった
【マサムネ】 誰かを『裁く』という業からは、 どこまで行っても逃れられない……
【マサムネ】 拙者は…… それがつらいのです
胸の辺りを ギュッと握り込むマサムネ
そんな彼女に、 声を掛けようとするマスター
――が、
【マサムネ】 ……!
【マサムネ】 今のは……
遠くから悲鳴が聞こえてきた
変われるよ
【マサムネ】 …え?
【マサムネ】 あっ!
マスターはマサムネの手を引き、 声のした方へと駆けていくのだった
そこは、とある街中だった
【マサムネ】 !!
【マサムネ】 異族!!
【異族】 ギギギ!
街を彷徨う異族の群れに向かって、 武器を取り出すマサムネ
――と、 マスターが彼女に向かって 指示を飛ばす
【マサムネ】 !
【マサムネ】 承知いたした!
【マサムネ】 はぁっ!
その指示に従い、 次々に敵を撃ち抜いていくマサムネ
その中で、彼女は気づく
【マサムネ】 ドミネーターを抜いた時…… 拙者は自分の倒しやすい順番で 異族を撃ってゆくつもりだった
【マサムネ】 だがマスターの指示は… 危険が迫っている人の順で、 異族を撃ち抜かせている
【マサムネ】 ようやく理解した… これは……この感覚は……
【マサムネ】 はあああああああぁぁぁ!!
マサムネとマスターの 見事な連携により、 異族の群れは殲滅された
【マサムネ】 はぁ…はぁ…
次の瞬間――、
【マサムネ】 …!
街の人々から大歓声が沸き上がった
【マサムネ】 ……
【マサムネ】 みんな…… 感謝の言葉を……
【マサムネ】 ………こんな…拙者に…
人々の称賛を聞きながら、 彼女の胸には“ある思い”が 去来していた
戦闘後――
街から少し離れた草原には、 腰を掛けて 話をしている2人の姿が
【マサムネ】 先ほどは少し驚いた……
【マサムネ】 あんなにも 感謝の言葉を 向けられるとは
【マサムネ】 その言葉の数々を聞いて、 わかったのだ
【マサムネ】 先の戦闘は拙者にとって…
【マサムネ】 主君と共に、 主君の理想とする平和のために 戦う行為
【マサムネ】 あの感覚、あの喜び……
【マサムネ】 あれは キル姫を裁いていた頃には 忘れていた感情
【マサムネ】 ようやく…… 普通のキル姫に戻れた
【マサムネ】 そんな気がする
【マサムネ】 主君よ、礼を言う
【マサムネ】 ありがとう
そう言って、微笑むマサムネ
その瞳の奥深くには、 優しい灯火が 宿り始めているようだった
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