510071211 アロンダイト 抑えきれぬ狂気
禍々しいオーラを発したキル姫が マスターの隊の前に 立ちはだかった
【アロンダイト】 不義にまみれた この世界を終わらせる意志を 受け入れし者
【アロンダイト】 終焉に集いし憤然の凶心、 アロンダイトです
【アロンダイト】 世界の終焉のため あなた達には死んでもらいます
突如現れ、襲い掛かってくる アロンダイト
【アロンダイト】 ああああああああああ! コワス!コワス!コワス!!!
その強大な力は マスターの隊のキル姫達を 圧倒する
【アロンダイト】 キエロ!キエロ!キエロ! キエロ―!
キル姫に向かって アロンダイトの剣が 振り下ろされ――
ダメだ! その間にマスターが 飛び込んでくる
【アロンダイト】 ……っ!
ピタリとアロンダイトの剣が 止まる
【アロンダイト】 あ、ああ…
怯んだ隙にアロンダイトを 拘束するキル姫達であった
【アロンダイト】 …なぜ、拘束を解いたのですか?
アロンダイトに襲撃された次の日 マスターはアロンダイトの 拘束を外した
【アロンダイト】 この場であなたを殺すかも しれませんよ?
そう思っているなら、 僕はとっくに斬られているよ と笑うマスター
【アロンダイト】 それでも危険な存在には 変わりません
君の瞳には怒りが宿っている そう呟くマスターの言葉に アロンダイトは息を飲む
マスターは彼女が なにか、心に深い闇を 抱えているようだと感じていた
【アロンダイト】 あなたは不思議な人ですね まるで全てを 見透かされているようです
何を抱えているの? とマスターが彼女に問いかける
【アロンダイト】 ………
【アロンダイト】 私の体の中には… 膨大な破壊衝動が溢れています
【アロンダイト】 そう… 世界を終焉に向かわせるための 破壊衝動が
世界の終焉…? 驚くマスター
【アロンダイト】 あなたには関係のないことです 痛みも怒りも、何も知らないまま 終わった方が楽かもしれません
【アロンダイト】 いっそ、殺していただいて 結構ですよ
そう言い放つ彼女 しかしマスターは答える 君を見放すことはしないよ
その破壊衝動と向き合い、 一緒に乗り越えていこう、と
【アロンダイト】 ………
しかし、彼女の返事は…
【アロンダイト】 そんなのは綺麗事です
【アロンダイト】 この絶望は誰にも理解できないし、 誰にも止められないのです…
突き放すように冷たい言葉を 呟き、去ろうとするアロンダイト そんな彼女の手をマスターは掴む
【アロンダイト】 …何のつもりですか?
ついてきて! マスターはアロンダイトの手を 引いて駆け出した
【アロンダイト】 ここは…
マスターの隊は、 ピクニックで草原に来ていた
マスターとしては、 アロンダイトに少しでも 温和な気持ちを持ってもらいたい
そういう意図もあったのだ
【アロンダイト】 何をしても 私の終焉を願う思いに 変わりはありません
だが、彼女の態度に変化はなかった
対照的に、隊の姫達は、 近くの村人達と仲良くなっている
【アロンダイト】 ………
アロンダイトは、 その様子を無言で眺めている
君も仲間に入れば? と、マスターは勧めるが…
【アロンダイト】 必要以上に馴れ合うのは、 止めておきましょう
彼女の態度に変化はない
――と、しばらくして 事件が起こった
【アロンダイト】 ……あれは
村に盗賊の一団が押し寄せてきたのだ
村人達を守ろうと、 立ち上がろうとする姫達
盗賊は、彼女らが キル姫であることを知ると、
化け物!や、奏官に使われる武器が! など、罵詈雑言を浴びせ、 殺そうとした
【アロンダイト】 ………ここにも絶望が
やめるんだ! 争いを止めようとするマスター だが…
ぐあっ! 逆に、盗賊達に 怪我を負わされてしまった
それを見たアロンダイトは
【アロンダイト】 あ、ああああーー! 消えろ、消えろ! 全て消え去れー!
一気に暴走状態に!
【アロンダイト】 アアアアアアアアア!!
盗賊達を皆殺しに しかねない勢いで襲い掛かるも、 姫達に制止される
【アロンダイト】 ハナセ!ハナセエエエエエ!!
そんなアロンダイトを恐れて、 逃げてゆく盗賊達
【アロンダイト】 はぁ…はぁ…はぁ!
盗賊達が去った後… 止めに入った姫達も アロンダイトも傷を負っていて…
【アロンダイト】 ………
彼女に助けてもらった村人達も、 驚いた様子で彼女を見ている
【アロンダイト】 やっぱり私のことは、 放っておいた方がいいですよ
そう言い残し、 アロンダイトはどこかへと 去ってしまった
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