510251211 ムラマサ・獣刻・ヤマタノオロチ 追い続ける背中
【ムラマサ】 たぁぁぁっ!!
剣を片手に、 戦場をとてつもない強さで 駆け抜ける一人の姫
【ムラマサ】 このムラマサ・獣刻(プラント)・ ヤマタノオロチがお相手致す!!
マスターの隊に新しく入った姫、 ムラマサだ
【ムラマサ】 ゆくぞっ!
黒き巨大なキツネにまたがり、 敵を蹂躙していくムラマサ
彼女は獣刻された力に加え、 さらなる強さを手に入れていた
【キツネ】 ―――ッ!!
それは 『大罪の獣』の力
【ムラマサ】 …くっ!
だが彼女は、その力を 使いこなせていないのか…
【ムラマサ】 と、止まりなさい!!
【キツネ】 ―――――ッ!!
彼女の制止を聞かず、 キツネは咆哮し、 荒れ狂っている
【ムラマサ】 止まれ…ッ!!
ムラマサはキツネにしがみつき、 必死に抑えようとする
【キツネ】 ………クゥゥゥン
ひとしきり暴れ回った後、 キツネはようやく落ち着きを 取り戻すのだった
【ムラマサ】 まだまだ…修行が足りぬ……
戦闘が終わって――
【ムラマサ】 ……よし
休む暇もなく、早速 剣の修行を始めようとするムラマサ
【ムラマサ】 申し訳ありませんが… わたっ…拙者の特訓に 付き合ってはくれませんか?
隊の姫に練習相手を頼んでいる
疲れているから断る姫もいるが…、
【ムラマサ】 お願いします!この通り!!
中には彼女の熱意に押され、 承諾してくれる姫もいた
【ムラマサ】 ではっ! いざ尋常に勝負!
開始すると同時に 憑りつかれたように 相手に木剣を打ちこむ彼女
【ムラマサ】 はぁぁぁぁぁっ!!
その気迫に飲まれ、姫は防戦一方に
【ムラマサ】 もっと…もっと……
彼女の目には、 狂気が孕んで見える
【ムラマサ】 もっと!
剣を防ぎつつも、 ムラマサの気迫に押し込まれ、 膝を付いてしまう姫
【ムラマサ】 もっと強くなりたい!
剣を振り上げ、 とどめの一撃を 加えようとした時…
止まるんだ!
【ムラマサ】 …!
彼女の剣を止めたのは、 マスターだった
【ムラマサ】 ……あ
我に返るムラマサ
【ムラマサ】 も…申し訳ありませんッ!
怪我をさせそうに なってしまった姫に 素直に謝罪する
【ムラマサ】 わ、私は… なんということを…
マスターは 呆然とするムラマサを連れ出し、 話を聞くことにした
【ムラマサ】 ………
俯き、落ち込んだ様子の彼女
大丈夫?落ち着いた? とマスターが優しく尋ねる
【ムラマサ】 “止まれ”と 同じことを言われるだなんて…
【ムラマサ】 これでは拙者も、 強欲の黒きキツネと なにも変わりませぬ……
そう、 彼女が司る『大罪』は “強欲”だった
強くなるため力が欲しいと願うのは 間違いではないけど、行き過ぎると 危険だね…と微笑むマスター
【ムラマサ】 …はい
【ムラマサ】 まだまだ修行が足りません…
【ムラマサ】 せっかく新しい力を 手に入れたのに、 まったく使いこなせていない…
【ムラマサ】 このままではダメです…
【ムラマサ】 もっと強くならないと…!
焦燥感を募らせる彼女に、 どうして、そんなに強くなりたいの? と尋ねるマスター
【ムラマサ】 どうして……って
【ムラマサ】 それは…
【ムラマサ】 拙者には なんとしても超えたい人が いるのです
“その人”を想う目には、 羨望と悲しみが宿って見えた
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