510251213 ムラマサ・獣刻・ヤマタノオロチ 解罪『解かれた執心』
あれから数日後――
夕刻
【ムラマサ】
はっ！たぁっ！
剣術の修行に励むムラマサ
隊の姫と打ち合っている
【ムラマサ】
えいっ！
しかしそれは、 彼女から言い出したのではなく、 姫から頼まれて応じているのだ
【ムラマサ】
ふぅ…
今日はこれくらいに
しましょうか
【ムラマサ】
…！
【ムラマサ】
主君
彼女はマスターと共に、 花畑へと出かけていった
日はすっかり沈み、 月が美しく輝いている
ムラマサは自分の心の内を マスターに語り出した
【ムラマサ】
自分でも不思議なんです
【ムラマサ】
姉マサムネを
超えようとしていた時より、
【ムラマサ】
己を乗り越えるため、
剣を振っている今の方が
強くなれる気がします
【ムラマサ】
すると、隊の姫たちから
教えを乞われるようになりました
【ムラマサ】
“強欲”とは…
【ムラマサ】
欲が過剰になり、
他人の都合を省みずに
己の心を満たそうとする様
【ムラマサ】
でもその欲を内に向かわせ、
高みを目指した時…
【ムラマサ】
皆が振り向いて
くれるようになりました
【ムラマサ】
お互いを高め合おうとする修行は、
拙者にもまた力を与えてくれます
【ムラマサ】
なんとありがたい
ムラマサは 姫たちと絆を深めたことで、 また新たなる強さに目覚めたようだ
【ムラマサ】
拙者…夢ができたんです
【ムラマサ】
もう姉上を超えるための剣も、
己を超えるための剣も振りません
【ムラマサ】
これからは…
【ムラマサ】
主君を守るため、
そのために剣を振ります
【ムラマサ】
そのために強くなります
そう宣言した彼女の瞳は、 今宵の空のように澄み渡っていた
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