510461211 ミュルグレス・神令・トール ついていい嘘、悪い嘘
新たに入った姫、 ミュルグレス・ 神令(コマンド)・トール
幼女のような可愛い見た目に反して 敵味方を問わず平気で嘘をつき 卑怯な戦い方もお手の物
そんな彼女はすぐさま 隊のトラブルメーカーとなった
【ミュルグレス】 喉かわいたの~? はい、お水あげる
ありがとう、と 手渡された水を口に含むも、 一気に吹き出すマスター
【ミュルグレス】 あははは!騙された~! それは超すっぱい レモン水だよ~~~♪
また、ある時は――
【ミュルグレス】 どうしたの?探し物? それだったら、 あそこの部屋にあるよ
ありがとう、と姫が取りに行くも、 ドアを開けると上から 大量の粉が降ってきた
【ミュルグレス】 あははは!騙された~! 小麦粉の雨だよ~~~♪
彼女は小さな嘘をついては、 みんなの困った姿を見て楽しんでいた
それだけではなく…
【ミュルグレス】 え?頼み事? やってあげてもいいけど、 報酬次第ね
【ミュルグレス】 うーん、そうだなぁ 隣町のスイーツ店のカステラ! あれで手を打つわ?
彼女は損得勘定でしか 動かないという一面もあったのだ
日常生活の中だけならまだしも、 それは戦闘中においても発揮された
【ミュルグレス】 だんちょー、ミュルが 作戦を考えてあげたよ
【ミュルグレス】 敵の部隊長は あそこの村の生まれらしいから 家族を人質に取るの
【ミュルグレス】 もしくはー 同盟を結んで油断させたあと 裏切って背後からズドンとか!
卑劣な作戦でも こともなげに提案し…
【ミュルグレス】 …えー? 卑劣な戦い方は したくないって?
【ミュルグレス】 作戦参謀の意見が聞けないの!? じゃあ力押しでいいんじゃない! 力押しで!!
提案が却下されると むくれる
そんな彼女に呆れる姫や 怒りを覚える姫が あとをたたない
だが、そのたびに マスターがなだめることで なんとかその場は収まっていた
そんなある日――
つまらなそうに 寝転がっているミュルグレス
【ミュルグレス】 な~んか退屈だな~
【ミュルグレス】 ここはいっちょ!
立ち上がり、町に駆けて行く
そして大声で叫んだ
【ミュルグレス】 魔獣だよ~! 魔獣が現れたよ~~~っ!!
小さな嘘に飽き飽きしていた彼女は、 大掛かりな嘘をついて回ったのだ
大慌てとなる人々
町にいた姫たちも、 焦って出撃準備に取り掛かる
【ミュルグレス】 あはははは! 騙された、騙された~! 魔獣なんていないよ~だ♪
……が、
【ミュルグレス】 ……あれ?どしたの?
ふざけないで!! とうとう姫たちの 怒りが爆発した
【ミュルグレス】 あははは! そんな怒んないでよ~!
楽しそうに逃げる彼女
ついていい嘘と悪い嘘がある! もう、あの子は信用できない! と、怒り心頭の姫たち
隊から追い出して! と息巻いている
僕がミュルグレスと話をするから と、マスターがみんなをなだめる
【ミュルグレス】 どしたの、たいちょー 突然あらたまっちゃって。 ミュルに話があるの?
【ミュルグレス】 うーん、ミュル、忙しいんだけどな~ どうしてもっていうなら カステラをおごってよ!
マスターは、 町から離れた草原に 彼女を連れて行くのだった
そしてカフェに入り、 どうして嘘をつくの? と優しく尋ねる
【ミュルグレス】 おもしろいから
悪びれもせず そう答える彼女に、 尚も尋ねてみる
おもしろいだけ? 他になにか理由があるんじゃないの? みんなを遠ざける本当の理由が…
【ミュルグレス】 ……え?
【ミュルグレス】 本当の…理由…?
理由があるなら話して欲しいんだ 真剣な目で見つめるマスターに、 少し戸惑った様子を見せるも……
【ミュルグレス】 ………だんちょーって、
【ミュルグレス】 お人好し過ぎ
【ミュルグレス】 別に理由なんてないよ
【ミュルグレス】 ミュルは本当に おもしろいから、 嘘をついてるだけ
【ミュルグレス】 そりゃ隊のみんなは いい子ちゃんだけどさ
【ミュルグレス】 世の中、 そんないい奴 ばっかじゃないから
【ミュルグレス】 ミュルはみんなと違って、 バイブスも信じてないしね
【ミュルグレス】 お人好しのだんちょーや みんなをうまく使って、 楽しく過ごしたいだけ
【ミュルグレス】 いや、楽しく 儲けたいってだけだから
【ミュルグレス】 じゃあね
あっけらかんと言い放ち、 その場を後にするのだった
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