510471212 戦場ヶ原 ひたぎ 戦場ヶ原、蕩れ
【戦場ヶ原】 ……お疲れ様でした、 阿良々木くん そこそこ、格好よかったわよ
【阿良々木】 むしろ今回働いたのは、お前だろ
【戦場ヶ原】 確かにそうかもしれないけれど、 そういうことではなく、ね ところで阿良々木くん
【戦場ヶ原】 まだ返事を聞いてないのだけれど どうするの?
【阿良々木】 いや、お前、ちょっと 勘違いしていると思うんだよ
【阿良々木】 ほら、 お返しがどうとか言ってたじゃん
【戦場ヶ原】 あれは口実よ 阿良々木くんの方から 告白させようと思ってね
【阿良々木】 ………………
【戦場ヶ原】 でも、安心して
【戦場ヶ原】 私は本当のところ、 阿良々木くんに、そこまで恩を 感じているわけではないのよ
【阿良々木】 え
【戦場ヶ原】 だって、阿良々木くん、 誰でも助けるんだもの
【戦場ヶ原】 でも、助けられたのが 私じゃなくても――
【戦場ヶ原】 たとえば、羽川さんを助けている 阿良々木くんを横から見ていただけでも、
【戦場ヶ原】 私は阿良々木くんのこと、 特別に感じていたと思うわよ
【戦場ヶ原】 まあ…… ちょっと大袈裟な物言いに なってしまったけれど、
【戦場ヶ原】 阿良々木くん、強いて言うなら、 私はただ、阿良々木くんと話すのが、 楽しいだけ
【阿良々木】 ……でも、 まだそんなに――話してないだろ
【戦場ヶ原】 そうね だから、もっと、 あなたと、話したい
【戦場ヶ原】 なんて言うか―― ええ、阿良々木くんを
【戦場ヶ原】 好きになる努力をしたいって 感じなのかもしれないわね
【阿良々木】 ……そっか
【戦場ヶ原】 そう、もういっそ、 こう思ってくれていいのよ
【戦場ヶ原】 愛情に飢えている、 ちょっと優しくされたら 誰にでも靡いちゃう、
【戦場ヶ原】 惚れっぽいメンヘル処女に、 不幸にも目を つけられてしまった、と
【阿良々木】 ……なるほど
【戦場ヶ原】 ついてなかったわね 普段の行いを呪いなさい
【戦場ヶ原】 ここで少し考えさせて欲しいなんて 腑抜けた言葉を口にしたら、 軽蔑するわよ、阿良々木くん
【戦場ヶ原】 あまり女に 恥をかかせるものではないわ
【阿良々木】 わかってるよ…… 現時点でかなり、みっともないと 思ってるさ
【阿良々木】 でも、戦場ヶ原 一つだけ、僕の方から条件を 出してもいいか?
【阿良々木】 条件って言うか、 まあ、約束みたいな もんなんだけど――
【戦場ヶ原】 約束…… 何かしら
【阿良々木】 戦場ヶ原 見えていないものを 見えている振りしたり、
【阿良々木】 見えているものを 見えていない振りしたり―― そういうのは今後一切、なしだ
【阿良々木】 もしも意見が食い違ったら、 そのときは、ちゃんと話し合おう 約束だ
【戦場ヶ原】 お安い御用よ
【阿良々木】 じゃ、行こうか すっかり暗くなっちまったし
戦場ヶ原は、まだ動かなかった 動かないまま、僕の手首をつかむ
【戦場ヶ原】 阿良々木くん 一応、言葉にしておいてくれるかしら
【阿良々木】 言葉に?
【戦場ヶ原】 なあなあの関係は、嫌だから
【阿良々木】 ああ――そういうこと
考える ここで英語を返すのも、芸がない
かといって他の言語に関する 知識となると、生半可なものしか 僕にはないし、
どちらにしても、 二番煎じの感を否めない と、すると――
【阿良々木】 はやるといいよな
【戦場ヶ原】 はい?
【阿良々木】 戦場ヶ原、蕩れ
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