510511213 七支刀 原典『平和への祈祷』
七支刀の活躍もあり ここ数日の戦闘で被害はほぼゼロ
それに加えて 次第に魔獣達の数は減っていき 今では現れるのも稀になった
今日は改めてマスターに 感謝を伝えるべく、彼のところへと 足を運んでいた
【七支刀】 ご主人様~? 今、よろしいですか?
【七支刀】 あの、この前のことで 改めてお礼が言いたくて… 来ちゃいました
少し恥ずかしそうにはにかむと 七支刀は礼儀正しくぺこりと 頭を下げながら
【七支刀】 ご主人様、ありがとうございます あの時、わたくしはご主人様に 大切なことを教えてもらいました
【七支刀】 自分の力を信じずにいたわたくしを ご主人様は優しく導いてくれました… これは、感謝してもしきれません…
【七支刀】 それでも、この気持ちはご主人様に どうしても伝えたくて…
感謝の言葉を述べる彼女に対し それは自分が努力したからだよ と、謙虚なマスター
【七支刀】 そ、そんなことはありません! ご主人様がああしてわたくしに 声をかけてくれたからですよ!
【七支刀】 だからわたくしは頑張れましたし ここまで成長することが 出来たんです!
【七支刀】 そもそもわたくしにとって ご主人様というのは——
七支刀はマスターについて 熱弁をし始める。どれだけ凄くて どれだけカッコいいかなど
既に顔が真っ赤になって 両手で顔を覆うマスターだが 七支刀は止まらない
【七支刀】 周りを思いやる優しい心 どんな時でも諦めない不屈の精神 他にもまだまだたくさん!
【七支刀】 ご主人様の良いところ わたくし、たくさん知っています たくさん、見てきましたからっ…
熱い視線でじっとマスターを 見つめる七支刀だったが、 はっとしたように顔を染める
【七支刀】 それに何より、わたくしを ただのお飾りではなくて 一人の仲間として受け入れてくれた…
【七支刀】 入隊してから、わたくしは ずっと圧倒されていました
【七支刀】 やっぱりわたくしは ただの飾り物なんだと… 無力感を抱くときもありました
【七支刀】 それでも、ご主人様は わたくしをお傍に置いてくれました 大事な仲間だと、言ってくれました
【七支刀】 これはわたくしにとって この上ないお言葉でした…
【七支刀】 気付いたら、わたくしは ご主人様に対して感謝なんかじゃ 足らないほどの恩を感じていました…
少女の心境が吐露されると同時に 涙が頬を伝う
【七支刀】 ご主人様… ちゃんと目を見て言わせてください ありがとう、ございます…っ!
【七支刀】 こんなわたくしをずっと 置いてくださってありがとう…
【七支刀】 ご主人様のこと 尊敬、しております お慕い…申し上げております…
七支刀の感情が その潤んだ瞳から伝わってくる それはまるで告白のようで…
マスターは思わず 褒められた嬉しさと恥ずかしさに 赤面してしまうのだった
【七支刀】 え、ご、ご主人様っ…! あ、そのっ…今のはっ…
そして、マスターは涙の代わりに 口元に鼻血を伝わせる
七支刀に褒めちぎられた上に 面と向かって告白された彼は ついに限界を迎える
【七支刀】 って、わたくし一体何を 口走っていたんでしょう…っ!? 今の忘れてくださ…
【七支刀】 あぁっ、ご主人様っ鼻血が! だだ、大丈夫ですか? 今すぐ止血を…
【七支刀】 えとえと…こういう時は… そうだ、あの呪術で治してあげれば…
すぐさま七支刀の呪術により 鼻血は止まり、それと同時に 二人の時間もピタリと止まる
顔を見合わせ、呼吸を合わせ 一秒、二秒…
【七支刀】 …ふっ、ふふふっ わたくし達何を しているんでしょう!可笑しい!
二人は同時に吹き出した
【七支刀】 はぁー…っ たくさん笑っちゃいましたね
【七支刀】 最後はちょっと気が 抜けちゃいましたけど 気を取り直して言わせてください
【七支刀】 ご主人様、これからも よろしくお願い致しますね? ずーっとお傍に置いてください…
祈るように、されどねだるような そんな恋する乙女の言霊は マスターの心へと刻まれたのだった…
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