520012211 イージス・冥令・ヘル 隊長の代わり
大きいテーブルに並ぶ豪華な食事 色とりどりの最高の美酒
マスターの隊は、とある場所で 祝宴を開いている
一体、なにを祝しているのか……？
今日は、慰安を込めた 息抜きのためのパーティなのだ
日頃の疲れを 癒すかのように 楽しんでいる姫達
そんな彼女達を見て、 マスターも嬉しそうだ
そして、 このパーティには もう一つ目的がある
――そんな中に、 浮かない顔をした姫が……
【イージス】
…………
イージス・ 冥令(コマンド)・ヘルだ
マスターは一人で佇む彼女に 声を掛ける どうしたの？楽しんでる？
【イージス】
………
マスターを見据え、彼女が口を開いた
【イージス】
貴様が『隊長』という
立場であることは認めている
【イージス】
だが……
【イージス】
本当に隊長として
相応しい存在なのか……
【イージス】
入隊以来、ずっと見定めていた
【イージス】
それがハッキリするまでは、
私が『隊長』代わりとして、
今日までやってきたつもりだ
【イージス】
だが今日でハッキリした
【イージス】
……失望したよ
【イージス】
このバカ騒ぎはなんだ？
気が緩んでいるとしか言いようがない
【イージス】
隊長の自覚があるのなら……
もっとしっかりして欲しいものだ
楽しいはずの宴の中、 冷や水を浴びせられるように 手厳しい言葉を投げられるマスター
【イージス】
………私は失礼する
そう言って彼女は、 パーティの場を後にしてしまった
その後――
会場から離れた場所で……
【イージス】
はぁぁぁぁぁ……
大きなため息をつく彼女
【イージス】
隊長の自覚があるのなら……
もっとしっかりして欲しいものだ
……か
【イージス】
それはまさに私のことなのにね……
彼女はカオスリーパーの ぬいぐるみに向かって、 呟くように話し掛けていた
【イージス】
ずっと思ってたの……
【イージス】
隊長と今日まで
ずっと一緒に戦ってきたけど……
【イージス】
私よりあの人の方が、
『隊長』として遥かに優れてる……
【イージス】
私は……隊長を演じているだけ
【イージス】
本当は……ただのドジなキル姫
【イージス】
それは姫達も、皆わかってる
【イージス】
本当の『隊長』は
私なんかじゃなくて、
あの人だと思ってる
【イージス】
現にさっきのパーティでも……
皆、私に対して
どこかよそよそしい……
【イージス】
私を……避けてるみたい
彼女は『隊長』としての自信を 持てずにいたのだ
――と、
【イージス】
！！
なにしてるの？ いきなり現れるマスター
【イージス】
にゃっにゃんで、
ここにいるのぉっ…！？
【イージス】
ちょ…ちょっとまって！！
焦りまくる彼女
慌てて、 シミュレーションノートを開き……
【イージス】
えっと…えっとえっと……
こんな時は……！
目を通し…… スッと姿勢を正して、
【イージス】
……心配ない
少し考え事をしてただけだ
と、素気なく返す
どうやらノートにある、 『いきなり声を掛けられた時の 対処の仕方』を実践したようだ
……が、
考え事って、ぬいぐるみに 話し掛けながら？…と、
彼女にとって、 想定外の質問をしてくるマスター
【イージス】
えっ！？
そそそそ…それは……だな…！
えっと……！！
慌てふためき、 上手く返答できない彼女 だが……
【イージス】
………はぁ
【イージス】
……情けない
【イージス】
私がどんなに取り繕ってみても、
隊長はすべてお見通しのようだ
【イージス】
……わかった
【イージス】
ぬいぐるみに
なにを話していたのか…
隊長には話すことにするよ
観念したように、 彼女が心の内を語り始めた
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