520081212 ブラックアイ 電脳交わる黒き波動
マスターの隊は草原の真ん中で 立ち往生する家族を保護する
どうやら異族の襲撃で 孤立してしまったらしい
一人娘はまだ幼く、日没も近いため 一番近い町まで 護衛をすることになったのだが…
【ブラックアイ】 え… 今、なんて?
驚くブラックアイに 家族のことはよろしく頼むよ と、マスターは重ねて言う
【ブラックアイ】 いやいやいやいや 無理だから…
【ブラックアイ】 他の人に任せた方が絶対にいいよ なんで私なの?
だってそれは… とマスターが言いかけた時 ブラックアイに影が迫った
【ブラックアイ】 !
ばすん!と突っ込んできた 小さな影の正体は… 保護した女の子だった
ブラック! と叫んで、ぎゅーっと抱き着く
こういう感じだからね とマスターは笑って言う
【ブラックアイ】 ちょ、ちょっと… 離れなよ…
【ブラックアイ】 もう…子供なんて面倒の極みじゃん 何でこんなに懐かれちゃったんだか
どこが好きなの? と、マスターがたずねると かわいい!と女の子は答える
【ブラックアイ】 それはそうだけど うーん…まぁ、ありがと
ということでどうかお願い! 君にしか頼めないんだ!この通り! 必死で頭を下げるマスター
【ブラックアイ】 これって引き受けなきゃ 永遠に絡まれ続けるやつだよね…
【ブラックアイ】 この果てしなく面倒な感じ 断らせる気なんて、 最初からないでしょ
【ブラックアイ】 はあ… 仕方ないな
【ブラックアイ】 その家族には私がついてあげる これでいい?
うん、お願いするよ とマスターは頷き やったー、と喜ぶ女の子
【ブラックアイ】 …何ごともありませんように
【異族】 グギャギャギャギャ!
【ブラックアイ】 うわー…
異族との接触で隊は戦闘態勢へ 家族たちはブラックアイの方に 不安そうな顔で近づいてくる
【ブラックアイ】 こうなったらやるしかないか
【ブラックアイ】 えーっと 敵があんな感じで展開してて 味方があそこにいるから…
【ブラックアイ】 まあ、この場所にいればいいかな… って、今回は私だけじゃないんだ 面倒くさいけど考え直し…
【ブラックアイ】 うん とりあえず、あの丘の方にいこう
【ブラックアイ】 あそこが一番高い場所だから なんとか行って 伏せてればバレないと思う
ブラックアイの指示通りに 進んでいく家族
【ブラックアイ】 思ったよりも丘への坂がきつい…
【ブラックアイ】 はあ、私だけならこんなところ 通らなくて済んだのに…
【ブラックアイ】 でも…約束しちゃったし 私が守ってあげなきゃ
【ブラックアイ】 あれ…
ブラックアイが後ろを振り返ると 女の子がひとりだけ 遅れているのに気が付く
【ブラックアイ】 まずい、このままじゃ 気付かれる…
【ブラックアイ】 ほら、はやくおいで …あっ
ブラックアイの呼びかけに 応えようとして 女の子は転んでしまう
【異族】 グギッ…
その音に反応して 近くの異族が急接近してくる
【ブラックアイ】 気付かれた!
ブラックアイは踵を返し 女の子のもとへ走ったが…
異族は既に女の子のもとへ着き まさに攻撃を加えようとしている
【ブラックアイ】 間に、合わない…
そして、凶刃が振り下ろされた瞬間…
突っ走ってきたマスターが 女の子をギリギリのところで 救い出した!
【ブラックアイ】 マスター! またあんな無茶して 次に狙われるのは自分なのに
【ブラックアイ】 えっと、周りには あの敵を倒せそうな人がいない ってことは…
【ブラックアイ】 つまり あの敵を私が倒せって ことだよね…?
【ブラックアイ】 この土壇場で 私の力に全てを託すなんて ほんとおかしいって…
【ブラックアイ】 いや…逆かな
【ブラックアイ】 最初から周りに全てを託してる だからマスターは無謀な行為に ためらいがなかったんだ
【ブラックアイ】 今のマスターは私を信じてる…
【ブラックアイ】 あー…もう そんなに期待されたら 頑張らなきゃじゃん
マスターの信頼を感じた ブラックアイは意を決して 異族に立ち向かっていく
【ブラックアイ】 私をその気にさせたこと 後悔させてあげる
【ブラックアイ】 『電脳交わる黒き波動』!
ブラックアイが放った強力な一撃は 見事に異族を打ち倒した
それを見たマスターと女の子は すごい!と同時に声を上げる
【ブラックアイ】 もうこの際だから 他の戦闘にも加勢してあげる
こうして、ブラックアイの 助力もあって、他の異族も ほどなく一掃されたのだった
その後、無事に 家族を近くの町まで 送ることができた
ここでお別れのはずが、女の子は ブラックと一緒にいく!と 駄々をこねている
【ブラックアイ】 はあ… ちゃんとパパとママの 言うこと聞きなさい
泣きながら引きずられていく 女の子を見送るブラックアイと マスター
【ブラックアイ】 …私といたって 別にいいことないのに
それはどうかな かっこいい姿、見られたよ と、マスター
【ブラックアイ】 いやいや、それは マスターがあんまりにも 危なっかしいからだって…
【ブラックアイ】 あんな真似されて 放っておけないよ
ブラックに守ってもらえるなら これからも安心して動けるなあ と、笑うマスター
【ブラックアイ】 はあ、調子いいんだから…
【ブラックアイ】 …だからってわざと 危ない目に遭おうとしないでよ マスター
そう言って マスターを見つめる ブラックアイだった
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