520191211 シユウ・D. plug・ベルゼブブ 空腹な憂鬱
【イノシシ】 グロロロロッ!
【シユウ】 うがぁぁぁぁぁっ!!
椅子を持ち上げ、 空腹で癇癪を起こしている姫
【シユウ】 おなかがすいたぞ! にくだ! にくをもってこーい!
マスターの隊に新しく入った シユウ・D. plug・ベルゼブブだ
【シユウ】 ガブガブ!うまい、うまい!
見た目も子供っぽく、 ドミネイトされたベルゼブブの 影響で暴力性が強く、
【シユウ】 ふぅ~、おなかいっぱいだ
【シユウ】 なんだか、たべたら ねむくなってきたぞ… シユウはねるからな
女の子…というよりは、 獣に近い性格をしている
また、ある時は…
【シユウ】 あ、マスター
【シユウ】 いまからたたかい…? てきがでたのか? よし!シユウにまかせろ!
張り切って戦闘の場に 突っ込んでいく ……しかし
【シユウ】 うぅ~、 ハラペコで いっぽもうごけないのだ
空腹になると たとえ戦闘中でも 戦えなくなってしまう
【シユウ】 しょうがないだろ
【シユウ】 だってシユウには 『たいざいのけもの』が はいってるんだからな
【イノシシ】 zzz……
その言葉通り彼女は、 暴食を司る『大罪の獣(イノシシ)』 の力が内包されたことで、
ますます食欲が エスカレートしていたのだ
【シユウ】 てことで、マスター なんかたべものくれ
そんな“食べては暴れる・寝る”、 “食べないと働かない”という ワガママっぷりなため、
他の姫との揉め事も しょっちゅうだった
ある日のこと……
【シユウ】 なんだぁっ!? シユウにもんくあるのか!?
隊内の真面目な姫が、 自分勝手なシユウの態度を たしなめたのだ
【シユウ】 ふざけんな!
怒った彼女は、 その姫を突き飛ばす
押された姫は、 フラフラと力なく 倒れてしまった
【シユウ】 なんだ! よわいくせに えらそうにするなっ!
やめるんだ 荒ぶるシユウを制止するマスター
【シユウ】 うぅぅぅっ!
みんなと仲良くしてね と頼むが、
【シユウ】 ふん!
幼く意地っ張りな彼女は、 最後まで首を縦に振らなかった
数日後――
【シユウ】 また、たたかいか…?
新たな戦闘が勃発
だがシユウは…
【シユウ】 わかった… けど…
【シユウ】 あぁ~、フラフラするぅ~
空腹で力を十分に発揮できていない
【イノシシ】 フシュルルル……
暴食のイノシシも、 主と同じく空腹でふらついていた
――と、その時
【シユウ】 しっ、しまったっ!
体に力が入らない彼女に、 敵の攻撃が振り下ろされた
マスターが助けに行こうとするが 距離が遠く、間に合わない
【シユウ】 あっ!?
だがそんな彼女を、 身を挺して守ったのは、 数日前に揉めた姫だった
【シユウ】 あぁ…
その姫は、別の姫に助けられ、 マスターの隊は なんとか勝利を収めるのだった
【シユウ】 ………
戦闘後、一人佇んでいるシユウ
そこにマスターがやって来た
あの子の怪我が気になる? と、尋ねるマスター
【シユウ】 ……べ、べつに
【シユウ】 よわいくせにシユウを まもろうとするからだ…
そう言いつつ、 自分のせいで仲間が傷ついたことに 責任を感じている様子だ
しかもマスターの話では、 あの姫は隊に食べ物が 手に入らなかった期間、
食べないと大食漢のシユウは 弱ってしまうだろうと、
自分は食べないで、 黙って食べ物を 分けてくれていたそうだ
【シユウ】 …え?たべものを…?
【シユウ】 だからシユウがおしたとき… からだにちからが はいらなかったのか…
【シユウ】 あいつ…… シユウがきらいだから もんくいってきたんじゃなく…
【シユウ】 しんぱいしてくれてたのか…
【シユウ】 なのに、シユウは……
自分のやったことに 後悔を覚える彼女
【シユウ】 ………
その日から、 シユウは何も食べなくなった
まさかショックで拒食症に…? と、心配するマスター
彼女に理由を尋ねると…、
【シユウ】 アイツのこと、 よわいっていったけど…
【シユウ】 シユウがいちばんよわかった
【シユウ】 ハラペコでもたたかえるようにする もう、めいわくかけたくないからな
【イノシシ】 フシュルルル…
責任を感じたシユウは断食し、 飢餓状態のまま鍛錬を 積もうとしていた
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