520221211 盤古 引きこもりのキル姫
マスターの前に現れた 不思議な少女
【盤古】 ………
【盤古】 ………
【盤古】 ………
あ、あの… マスターが話しかけても、 ずっと黙ったままの彼女
君は…? と尋ねても……
【盤古】 え……?
【盤古】 その……
【盤古】 ………
モジモジしていて、 一向に話さない
えっとぉ……… マスターが困っていると、 ようやく言葉を発した
【盤古】 ……盤古(ばんこ)
え?なに?なにが? とマスター
【盤古】 …え、名前…
えっと…誰の? とマスター
【盤古】 誰って、我の…
そっか、ゴメンね! 君の名前は盤古って言うんだ? あの…他には…?と更に尋ねる
【盤古】 ………
【盤古】 他に?
他に…あの… 自己紹介とか… 頑張って会話を繋ぐマスター
【盤古】 ……な、なんで、そんなこと …聞くのだ?
なんでって言われても… 噛み合わない会話に困るマスター
【盤古】 えっと…えっと…
そんな状況を見兼ねて、 盤古のそばにいる小人が、 彼女に耳打ちした
【盤古】 え?うん…うん
【盤古】 わかった
【盤古】 そんなに、言うなら… 教えてあげなくもない… その…他意はない、のか…?
え?他意? う、うん…ないよ… 困りつつ返答するマスター
【盤古】 そうか…じゃあ、ええ、っと うんと……
期待の眼差しで 彼女を見つめるマスター
……だが、
【盤古】 や、やっぱり、ない
【盤古】 以上、である……
ズコーッ! と、ずっこけるマスター
それだけ言うと、 盤古は自分の空間に 閉じこもってしまった
彼女は、無口、根暗、話し下手
三拍子そろった 真の引きこもり少女だったのだ
そんな盤古…… 同じ隊にいるはずだが、 ほとんど見かけることがない
彼女が心配なマスターは、 機を見ては話し掛けに行った
【盤古】 …………なに?
顔だけ覗かせ、なかなか 自分の空間から出てこない盤古
ちょっとお話でもしない? マスターの誘いに、 出てはくるが……
【盤古】 ………
【盤古】 ……
【盤古】 …で、……なんだ?
話し下手なため、 なかなか会話が続かない
【盤古】 じゃあ…
そして、すぐさま 自分の空間に引きこもってしまう
やれやれ… と、ため息交じりのマスター
隊の姫達も、 初めはそんな盤古を心配していた
しかし、呼びかけても…
【盤古】 ………なんだ?
【盤古】 ………
【盤古】 じゃあ…
こんな調子なものだから、 なかなか打ち解けることが 出来なかった
そんな、ある日…
【盤古】 セントウ……? 戦い、か…
【盤古】 え、外に、でるのか…?
【盤古】 ………
なにやら考え込む彼女
しばらくすると、 小人のリク・カイ・クウが 彼女の言葉を伝えに来た
あの…嫌だそうです ……と
そんな彼女に対し、 さすがに姫達から 不満の声が漏れ始めた
【盤古】 ……なんだ? 我にまだ、なにか用か…?
だがマスターだけは、 リク・カイ・クウを通して、 盤古と関わり続ける
ある日の朝――
【盤古】 おは、よう… よく眠れたか…? 朝はいつも、左目だけうずく…
よく分からないことを 言っていて、噛み合わない
ある日の昼――
【盤古】 お昼ごはん… え、なに? こっちを見て…
小人のカイが彼女に耳打ちする
【盤古】 なに、カイ? うん…、あ、そっか そういうことか…
【盤古】 あの、ご飯、 一緒に食べたいなら、 考えなくもないぞ…?
マスターの懸命な声掛けもあり、 彼女は徐々ではあるが 心を開くようになっていった
しかし、 そんなある日、 事件が起こる
【盤古】 戦闘……?
【盤古】 外、出たくない…
この日も参戦しなかった彼女
だが、その戦いで、 姫の一人が負傷してしまったのだ
中には、盤古が 戦闘に参加しないからだと 非難する姫もいて…
【盤古】 我、の、せいだ……
盤古も自責の念で、 ひどく落ち込んでしまった
数日後――
マスターは盤古に告げる 君にキツイことを言った姫も、 興奮してつい言ってしまっただけ
君に謝りたいと言っていたよ、と
【盤古】 ………
すると、モジモジしながら 彼女がなにかを手渡してきた
これは…? 尋ねるマスター
【盤古】 ……お守り
【盤古】 作った……
それは、彼女手作りの お守りだった
【盤古】 怪我、早く治って、ほしいから…
ちゃんと渡しておくね…と、 微笑むマスター
【盤古】 ………うん
だが彼女は、俯いたままだった
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