520221212 盤古 天地を開く者
あの日から １週間ほどが経った――
盤古は、自分の空間から まったく出てこなくなってしまった
どれだけマスターが呼び掛けても、 今日はお引き取り下さい と、リク・カイ・クウに帰されるだけ
先日のことが、 よっぽどショックだったのだろう
怪我を負った姫は、 なかなか回復せずにいる
盤古にひどいことを 言ってしまった姫も、 あれからずっと後悔している
マスターの隊は、 暗い雰囲気に包まれていた
――次の日
マスターさん、よろしいですか？ リク・カイ・クウが、 マスターの元にやってきた
盤古が話したいことがあるらしい
彼女の元に赴くマスター
【盤古】
………
【盤古】
マスター……
自分の空間から顔を出した彼女
【盤古】
あの、その……
【盤古】
……
【盤古】
………ごめん、なさい
どうしたの？ 突然の謝罪に驚くマスター
【盤古】
だって…
【盤古】
我のせいで…
【盤古】
隊の和、
乱してしまった…
【盤古】
我が戦いに行かなかったから…
【盤古】
仲間、傷つけた…
【盤古】
我は…悪い子だ
深く落ち込んだ表情の彼女
【盤古】
………
マスターが励まそうとした時…
【盤古】
これ、お詫び……
彼女が出したのは、 夥しい数の手作りの お守りだった
これ… 君、一人で作ったの…？ 驚いたマスターが尋ねる
【盤古】
………
黙って、うなずく彼女
【盤古】
我は、なにも、
役に立てないけど…
【盤古】
これで…あの子が…
【盤古】
元気になってくれたら、
嬉しいから
そんな彼女にマスターは言う 役に立たないなんて、 とんでもない
君のその忍耐力、実行力… そして、なにより優しさは とても素晴らしいよ、と
【盤古】
……！
【盤古】
……ほんと、か？
【盤古】
……そっか
彼女がようやく笑顔になった
数日後――
盤古のお守りパワーのおかげか、 負傷した姫はもうすっかり 回復していた
たくさんの手作りお守りを見て、 盤古を見直す姫達
でも、そこに盤古の姿はない
彼女はマスターと二人、 語り合っていた
【盤古】
えっと…
あの……
【盤古】
我が、言いたいのは…
一生懸命、伝えようとする盤古 マスターも穏やかな気持ちで 彼女の言葉を待った
【盤古】
ありがとう
【盤古】
あの日、
マスターに褒められて、
少しだけど、
【盤古】
自信、ついた
【盤古】
我のこと…
【盤古】
見捨てないで、
ずっと声、掛けてくれて…
嬉しかった
【盤古】
だから、ありがとう
そんな彼女にマスターは言う これからも、ずっとよろしくね
【盤古】
……うん
【盤古】
ずっと、だ
そんな彼女に耳打ちするリク 伝えたかったのは、 それだけじゃないでしょ？
【盤古】
わかっ、わかってる
【盤古】
えっと、あの…
【盤古】
マスター
彼女は意を決したように、 マスターに向き直った
【盤古】
あのな…
我はマスターのことがな…
【盤古】
あの…その…
見兼ねたリクが再び耳打ちする
【盤古】
いや、リク…、
わかってるぞ…
【盤古】
でも、言えないのだ…
…？ 不思議そうに、 彼女を見つめるマスター
【盤古】
えっと、だから……
一生懸命なにかを伝えようとする 彼女の姿は、とてもいじらしかった
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