520271211 アハト 静かな食事
【アハト】 むぐ、もぐもぐ…
異なる世界から訪れた少女アハト マスターは彼女と共に 静かなランチタイムを過ごしていた
【アハト】 むぐむぐ…ごくん
華奢な体躯のアハトに合った 純白のワンピースに、 その姿に似つかわしくない漆黒の義手
そして片方の瞳には 底知れぬ輝きを秘めた義眼
そのいびつさがアハトであり そのすべてが大事なものなのだと マスターは彼女から感じ取っていた
【アハト】 …………?
アハトのほうを 見つめてしまっていたようで 不思議そうな顔をされるマスター
【アハト】 マスターはおいしくないですか、食事
何か勘違いをされているようなので 「美味しいよ」 とマスターは答える
【アハト】 そうですか なら、よかったです
【アハト】 もぐもぐ…
短い受け答えのあと すぐに再開されるアハトの食事
【アハト】 んくっんくっ、ごくん
用意されたものを食べ終え 小さく何かを呟いて 食事を終えるアハト
【アハト】 では、これで
そしてアハトはいつも通り すぐにマスターから離れていく
また別の日…
【アハト】 もぐ、むぐむぐ…
今日もマスターは アハトと一緒にランチをしている
マスターはアハトへ ふと、ほかの姫達とは一緒に 食事をしないのか、と訊ねる
【アハト】 ごくん… キル姫のみんなと、ですか
【アハト】 …たくさんの人と一緒には あまり慣れていないので
慣れれば大丈夫? とマスター
【アハト】 それは…わかりません
【アハト】 誰かと一緒にいることは 別に不快ではないです
【アハト】 賑やかなのも、経験はあります
【アハト】 なので、慣れれば平気になる… かもしれません
【アハト】 ぱくっ、むぐむぐ
アハトはそれ以上何も言わなかった
任務の日 マスターは同行するアハトについて ずっと考えを巡らせていた
【アハト】 準備、終わりました …マスター
アハトのことで頭がいっぱいで アハトの声に気付かないマスター
【アハト】 マスター?
二度目の声掛けで ようやく気付いたマスターは あ、ごめん、と応える
【アハト】 まだ準備ができていない キル姫もいます
【アハト】 マスターは少し休んだほうが いいんじゃありませんか?
大丈夫だよ とマスター
【アハト】 …そうですか なら、いいです
アハトはマスターを 不思議そうに見つめていた
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