520311211 如意金箍棒・神令・フリッグ ヒトの本質
珍しく早朝に目を覚ましたマスター
まだ眠い目をこすりながら、 外に出てみると なにやら声が聞こえてくる
【如意金箍棒】 はぁっ!
一人の姫が、 特訓を積んでいた
【如意金箍棒】 …!
【如意金箍棒】 あれ? こんな時間から起きてるんだ?
なにしてるの? 彼女に尋ねるマスター
【如意金箍棒】 ワタシ? ワタシはビコウと 一緒に術の訓練
【ビコウ】 ウキッ!
彼女の豊かな胸に 飛びつく一匹の猿
ビコウとは彼女の弟子である このエロ猿の名前だ
今も夢中で 彼女の胸に頬ずりしている
【如意金箍棒】 あっ、よかったら、 マスターも練習してみる?
【如意金箍棒】 仙人になれるまで、 手取り足取り教えるよ?
て、手取り足取り…? 彼女のふくよかなボディを見て、 よからぬ妄想を膨らますマスター
彼女の名は、 如意金箍棒・ 神令・フリッグ
最近、隊に入った新入りだ
【如意金箍棒】 仙術の特訓が終わったら 朝ご飯の準備するから、 ちょっと待っててねっ
清楚な振舞いで、 色香漂うお姉さんといった 雰囲気の彼女
性格も柔和で、 いつも微笑みを 絶やさない優しい性格だ
【如意金箍棒】 …ん?なんか胸が…
――と、 なぜか突然、衣服の胸元が 締め付けられていく彼女
【如意金箍棒】 わわっ…! ん、おっぱいがキツく…
見ると、楽しそうに 弟子が両手で拍手している
【如意金箍棒】 うぅ~ん、ビコウ… 新しい術を覚えたの?
【ビコウ】 キキッ!
【如意金箍棒】 緊縛?ん~、服を縮めてる?
破廉恥な弟子に怒るのかと思いきや…
【如意金箍棒】 すごい進歩っ! バッチリ術も使えてるみたいだし、 この調子で頑張ろうねっ!
少々、天然というか…
どれだけセクハラされても 気づくことなく、いつも笑顔だ
【如意金箍棒】 じゃあ朝の特訓、終わり 朝食の準備に取り掛かろう
そう言って、 厨房に入っていくも、 おっとりとした性格の彼女
【如意金箍棒】 みんなでがんばって、 美味しいごはん作ろうね
日常生活において、 自発的に意見を言うこともなく、 常に穏健派だ
【如意金箍棒】 うん、うまくできたね みんな、手伝ってくれて ありがとう
そんな彼女を、隊の姫たちは 慕っている
だがマスターは、 彼女に穏健とはまた別の 印象を持っていた
【如意金箍棒】 それじゃ、ビコウ あっちで食べよっか
そういって、食事を持って ビコウと共に 行ってしまうのだった
数日後――
【如意金箍棒】 はい、ビコウ あなたの好きなバナナよ
マスターは、草原でビコウと 一緒にいる如意金箍棒を発見する
なにやら自分の武具に リボンを巻いているようだ そこで声をかけようするが…
【如意金箍棒】 キャッ!? ビコウ?
【如意金箍棒】 もう!どうしてあなたはすぐに ワタシの服を引っ張るの? リボンが結べないじゃない
ラッキースケベという奴か… ビコウがスカートの裾を引っ張り、 豊かな胸がはだけそうになっている
それを思わず 凝視しているマスターを 見つける彼女
【如意金箍棒】 あ、マスター ちょっと待っててね
【如意金箍棒】 ビコウ、マスターが来たから 離してね
てんやわんやしながらも、 やがて落ち着きを取り戻した 如意金箍棒
その後、草原に腰掛け、 マスターと話していた
マスターは 新しい隊で、悩みとか無い? と彼女に尋ねる
【如意金箍棒】 うん、みんな優しいし、 楽しくやってるよ
そう答える彼女に、マスターは 少し気に掛かっていたことを 聞いてみた
君はみんなと仲良くしてるけど… どこか距離を 取っているように見えるんだ
なにか理由があるの?と
【如意金箍棒】 …!
その言葉に少し驚く彼女
【如意金箍棒】 すごい ちゃんと見てるんだね?
どうして距離を取ってるの? マスターが尋ねる
【如意金箍棒】 ワタシはね… マスターがどんな人か、 見定めようとしてるの
【如意金箍棒】 それに…
【如意金箍棒】 バイブスというものを 信じていないの
【如意金箍棒】 人は…本当のところじゃ 繋がり合うのは難しいって 思ってるから
どうして、そんな… マスターの問いに彼女が答える
【如意金箍棒】 キラーズの記憶だけど、ワタシは 法師様と仲間たちの 旅を知ってる
【如意金箍棒】 それで思ったの
【如意金箍棒】 法師様くらい 徳の高い人物じゃないと、 本物の『和』は体現できない
【如意金箍棒】 だって多くの人間の本質は利己主義 そんな連中をたくさん見てきた
マスターを見据え、彼女が口を開く
【如意金箍棒】 マスターは優しいけど、 本物の和を体現できる人なのか… 見定めてる最中なの
【如意金箍棒】 …ごめんね 自分がそういう目で見られてる なんて嫌だよね
【如意金箍棒】 でも、マスターには 私の想いを 知ってもらいたかったから
穏やかな口調とは裏腹に シビアな言葉を残し、 彼女は去っていくのだった
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