520321212 神原 駿河 その左腕――どんな調子だ?
【阿良々木】 足の方、気を付けとけよ
【阿良々木】 虫刺されはともかく、この山、 やたら蛇が出るらしいから
【神原】 うん
【神原】 ところで阿良々木先輩
【神原】 昨日、訊きそびれたのだが、 この山でいったい、 何をするのだろうか
【阿良々木】 仕事だよ 忍野からの
【阿良々木】 この山の上に、今は もう使われてない 小さな神社があるそうなんだけど、
【阿良々木】 そこの本殿に、お札一枚、 貼ってきてくれ――ってさ
【神原】 そんなの、忍野さんが 自分でやればいいのではないのか? あの人は基本的に暇なのだろう?
【阿良々木】 まあ、『仕事』だよ
【阿良々木】 僕はあいつに世話になったとき、 洒落にならないような多額の 借金をしちまってるからな
【阿良々木】 ……お前だってそうなんだぜ? 神原
【神原】 え?
【阿良々木】 あいつはあれでも専門家なんだ ロハで力を貸してくれるほど 甘くはないさ
【神原】 ああ、それで――
【神原】 ところで阿良々木先輩、 今日のことについて、 戦場ヶ原先輩は何か言っていたのか?
【阿良々木】 んー? いや、別に
【阿良々木】 神原、お前には何か言ってたか?
【神原】 んー 目一杯可愛がって もらってきなさいと言われた
【阿良々木】 ……………
【神原】 それと、こうも言われた
【神原】 『阿良々木くんから 粗相を受けたら、 私に逐一報告なさい
【神原】 あの男に、山に埋められるか 海に沈められるか、 嫌いな方を選ばせてあげる』
【阿良々木】 嫌いな方を選ばせるんだ!
容赦ねえ まあ――しかし
僕としても望むところだ
【阿良々木】 ああ、そうだ、神原 戦場ヶ原の話で思い出したけど、 あいつ、もうすぐ誕生日だろ
【神原】 うん 七月七日だ
【阿良々木】 それで、誕生を祝って やろうと思うんだけど、最初の一回は 賑やかな方がいいと思ってさ
【阿良々木】 知り合いを呼んで、軽く 誕生パーティーでも 開いてやりたいなって
【神原】 いや、戦場ヶ原先輩としては、 阿良々木先輩と二人きりで 過ごしたいんじゃないだろうか
【阿良々木】 そんな殊勝な女か? あいつが
【阿良々木】 なあ、神原
【神原】 なんだ、 阿良々木先輩
【阿良々木】 その左腕――どんな調子だ?
【神原】 うん?
【神原】 ああ
【神原】 忍野さんの話では、 二十歳までに、治るそうだ
【阿良々木】 そりゃよかったな 二十歳過ぎりゃ、 またバスケットボールが
【阿良々木】 できるってことじゃないか
【神原】 そうだな
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