520331211 ぬりかべ いろいろな料理
【ぬりかべ】 うん。おいしい… これは鍋に使えそう
ところ狭しと並ぶ野菜を 見ながら、ぬりかべは うんうんとうなずく
【ぬりかべ】 あっ…この野菜?は見たことない ちょっと試してみようかな?
言いながらぬりかべは さらに別の露天商へと向かう
【ぬりかべ】 知らないものが、いっぱい…
【ぬりかべ】 もっと勉強して みんなに、食べてもらいたい
異世界からやってきた ぬりかべという少女
当初は戸惑っていたが 慣れてくると
元の世界に戻る方法を探すために 情報収集を始めた
【ぬりかべ】 あっ…この調味料もいい お醤油の代わりになるかも
ついでに仲間のためにと こちらの世界の料理についての 情報も集めていた
そんなある時…
【ぬりかべ】 マスターさん… お話があるんです
こちらに来たぬりかべを 保護する意味も含め 隊に招き入れたマスター
その思いを察してか、 何かあるときは こうして相談してくれる
【ぬりかべ】 旅に、出たいです
【ぬりかべ】 もっと、いろいろな料理を 知りたいんです
【ぬりかべ】 滝夜叉姫さま達にも いろいろ作ってあげたいですから
ぬりかべの望みを聞き マスターは彼女らしいと思いながらも 返答は保留した
【ぬりかべ】 だめでしょうか? 魔獣がいるのはわかりますけど 自分の身は、守れますし…
異世界で妖怪と呼ばれる 存在の彼女達が 戦えるというのはわかっている
しかし問題はそこではなかった ぬりかべは重度の方向音痴だった
これまでにも街の中で ちょっとした買い物でも 迷子になることがあったのだ
【ぬりかべ】 だ、大丈夫です! 間違えたのは、街の中で道が 複雑だったからです…
【ぬりかべ】 街の外なら、道なりに 進むだけですから、平気です
控えめながらも自信ありげにする ぬりかべに対して マスターはそれならと提案する
【ぬりかべ】 テストですね わかりました ひとり旅ができると証明します
そう言うと、近くの森へ 行くと言い始めるぬりかべ
【ぬりかべ】 それじゃ行ってきますね…
そう言いながら ぬりかべは目的地とは 反対方向へと歩いて行く
マスターは少しだけ 気まずくなりながらも そのことを指摘する
【ぬりかべ】 えっ!? …もちろん、わかっていました こっちですよね
赤面しながらぬりかべは振り返り そのままさっきとは別方向に 歩きだすのだが…
ぬりかべが向かう先は やはり目的地の森とは 違う方向だった
【ぬりかべ】 えっと… 少し間違えても 何とかなると思います
そうは言っても ここは彼女にとって 未知の世界
何がぬりかべにとって 脅威になるかわからない
そんなところへ ぬりかべをひとりで 送り出すわけにはいかない
【ぬりかべ】 でも…ずっとここにいても 新しいお料理は学べないです
マスターもぬりかべを 閉じ込めたいわけではない だから提案する
【ぬりかべ】 マスターさんも 私と一緒に行く…ですか?
【ぬりかべ】 そんなの悪いです! 私のためにそこまで…
もともとマスターは ぬりかべを見守るつもりだった それがこの街でも別の場所でも同じ
だから絶対に着いていくと マスターはぬりかべに伝える
【ぬりかべ】 どうして…
【ぬりかべ】 いえ、お願いします
土地勘がないことに 不安を感じていたぬりかべは 丁寧に頭を下げる
そんなぬりかべに 道案内なら任せてくれと マスターが笑顔で応じると
ぬりかべも はにかむような笑みを 見せたのだった
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