530013211 ロンギヌス・擬彩 世界に愛を
マスターの元に、 新たなる姫が入隊した
【ロンギヌス】
ロ、ロンギヌスです
よろしくお願いします…
少しオドオドした印象の彼女に、 こちらこそ、よろしくね と握手を求めるマスター
【ロンギヌス】
……は、はい
だが彼女はモジモジしたまま、 手を伸ばそうとしない
【ロンギヌス】
………
照れ屋なのかと思ったマスターは 握手のために差し出した手を 引っ込めて笑いかけた
それから、数日後――
【ロンギヌス】
………
マスターは少々、困っていた
【ロンギヌス】
………
…と言うのも、彼女は普段、 黙ったまま『じ～～～』…と、 マスターの動きを観察しているのだ
なにか用…？ と、尋ねると…
【ロンギヌス】
………ハッ！
【ロンギヌス】
い、いえ…！
気づかれた！と、ばかりに、 ササっと物陰に隠れてしまう
そして、物陰から また『じ～～～』と見てくるのだった
興味を持ってくれるのは嬉しい しかし、近づこうとすると 離れていってしまう
どうしたらいいのか 悩むマスター
そんな、ある日…
【ロンギヌス】
………
マスターは早朝に一人で出かける ロンギヌスを見かける
どこに行くんだろう？ 疑問に思い、 後を追ってみると、
【ロンギヌス】
………
彼女は教会で祈りを捧げていた
何してるの？ マスターが声を掛ける
【ロンギヌス】
…マ、マスター
【ロンギヌス】
そ、その……
【ロンギヌス】
お、お祈りをしていました
【ロンギヌス】
世界に愛が満たされますように、と…
愛が？と、尋ねるマスター
【ロンギヌス】
は、はい…
【ロンギヌス】
私は…新しい世界を、
愛で満ち溢れたものにしたいのです
【ロンギヌス】
愛は素晴らしいものです
【ロンギヌス】
世界を愛する気持ち、
人を愛する気持ち、
自らを愛する気持ち、
【ロンギヌス】
異性を愛する気持ち、
趣味を愛する気持ち、
自然を愛する気持ち…
【ロンギヌス】
対象が良いことであれ悪いことであれ
人が何かを愛する気持ち、
何かに夢中になる気持ちは、
【ロンギヌス】
大きなことを成し遂げるための
原動力になりえる
【ロンギヌス】
それが…
新たな世界を繁栄させるカギになる
私はそう想っています
いつものオドオドした印象とは異なり 恍惚とした表情でそう語る彼女を マスターはじっと見つめる
【ロンギヌス】
え？な、なにか……？
マスターは、 この日初めて彼女の想いに 触れた気がして、微笑んだ
それから、また数日後――
【ロンギヌス】
ま、待ってください…！
町の路地裏で、 ひとりの不良少女と対峙する ロンギヌスを発見したマスター
【ロンギヌス】
さ、さっきの言葉…
訂正してください…！
いつもは大人しい彼女からすると、 珍しいほどの剣幕で叫んでいる
どうしたの…？ マスターは２人の間に割って入る
【ロンギヌス】
…あっ！
マスター……
一体、何があったの？
【ロンギヌス】
そ、それは……
彼女の目には 怒りが湛えられている
【ロンギヌス】
私は…許しません…！
初めて見るその意外な姿に、 驚きを隠せないマスターだった
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