530252211 ミネルヴァ・擬装・アーチャー 変わる戦況の中で
今日も朝早くから、 あの姫の声が響く
【ミネルヴァ】 さぁ、一日の始まりですよ! 今日も気を抜かずに頑張りましょう!
彼女の名は、 ミネルヴァ・擬装(イミテイト)・ アーチャー
【ミネルヴァ】 ほら、ボ~ッとしてないで マスターも早く 顔を洗ってきてください
幼い見た目に反して、 多才でしっかり者
【ミネルヴァ】 朝食の時間です 具材を洗う人と調理する人、 役割をちゃんと分けて行いましょう
【ミネルヴァ】 朝食が済んだら、お掃除です 拭き掃除の人と掃き掃除の人は、 それぞれの持ち場に行ってください
日常生活においては料理や掃除など、 隊全体を冷静に見ることができ、 姫達にテキパキと指示を出す
だが性格は穏やかで世話好きなため、 今では仲間に頼りにされる チームのまとめ役となっていた
【ミネルヴァ】 皆さん、 もちろん困ったことがあれば、 いつでも頼ってくださいね
その性分は、 戦闘においても 遺憾なく発揮されていた
【ミネルヴァ】 援護はお任せを、 作戦開始と行きましょう
各々の持ち場に着く隊の姫達
ミネルヴァも自身の弓を持ち、 駆けて行く
【ミネルヴァ】 前方の木の陰にも敵を発見! そこから動かないでください! ここは私に!!
【ミネルヴァ】 はぁっ!
後方から指示を出すと同時に、 矢を放つ彼女
【ミネルヴァ】 命中!
【ミネルヴァ】 もう大丈夫ですよ
それは遠くに潜む敵を射抜き、 仲間の窮地を救うのだった
そんな彼女に、
指示も的確で、戦闘でも大活躍 すごいね!…と、言うマスター
【ミネルヴァ】 ………
【ミネルヴァ】 あ、ありがとうございます… ですが、まだまだ私は未熟ですから…
だが言葉とは裏腹に、 彼女の顔は晴れない
【ミネルヴァ】 じゃあ、私はこれで
そして、そのまま 一人どこかへと 行ってしまうのだった
…? 不思議そうに、 その背中を見送るマスター
…そして、その後ろには
【ラグナロク】 ………
数時間後――
【ミネルヴァ】 ………
ミネルヴァは、 草原で一人佇んでいた
そんな彼女に掛けられる声
【ラグナロク】 どうしたの?
【ミネルヴァ】 …!
【ミネルヴァ】 …あなたは
声の主はラグナロクだった
【ラグナロク】 悩んでるみたいね
【ミネルヴァ】 ……
【ラグナロク】 いい?
【ラグナロク】 広く見ることだけに囚われてはダメ
【ミネルヴァ】 …どういうことですか?
【ラグナロク】 戦況だけじゃなく、 仲間をよく見てみて
【ミネルヴァ】 ………
【ラグナロク】 そうすれば、 いずれ悩みは解消するわ
【ミネルヴァ】 ……いつも…見てます 皆さんの助けになれるように
【ラグナロク】 そういうことじゃないわ
【ミネルヴァ】 …え? …それは…どういう…
【ラグナロク】 ちょうどいい機会だし 聞いてみるといいわ 同じ指揮をする立場として
【ラグナロク】 …いるのでしょ? マスター
二人のことが気になって 様子を伺っていたマスター
バレてたの?と苦笑いしながら ミネルヴァの隣に座わるマスター
チームをまとめるのは大変だよね 僕も全然うまくいかないから と話す
【ミネルヴァ】 マ、マスターも…?
同じ悩みを持つ者同士、 良かったら話を聞くよ? マスターが優しく微笑みかける
【ラグナロク】 そうね… マスターの方が私よりも あなたの気持ちがわかるかも
【ラグナロク】 ミネルヴァ、 相談してみたらどう?
【ミネルヴァ】 私は……
彼女がゆっくりと口を開いた
【ミネルヴァ】 援護役として… もっと完璧なフォローを しなくちゃって思ってて……
【ミネルヴァ】 でも… 全然できてなくて…
【ミネルヴァ】 それが… とても心苦しいんです…
悲痛な顔を見せるミネルヴァ
【ラグナロク】 あなたの武具は、 槍から弓へと変わった
【ミネルヴァ】 えぇ、あなたのおかげで… 感謝しています
【ラグナロク】 でも、それが 悩みを抱く原因にもなった
【ミネルヴァ】 ………
黙って、うなずくミネルヴァ
そんな彼女に、 君はよくやってくれているよ、 僕なんかより全然
と励ますマスター
だが……
【ミネルヴァ】 いえ… 今のままじゃ…… ダメです全然……
その日、 彼女の表情が晴れることは、 最後までなかった
Next: 530252212