540011212 アルテミス 黒式・色欲射抜ク黒銃
気まずい帰り道の中、マスターは 足元に血痕を発見する アルテミスの腕から落ちたものだった
【アルテミス】 ああ… 大した傷ではありません
とりあえず見せて… と、マスターは腕に触れようとするが アルテミスはその手を振り払う
【アルテミス】 放っておけば治ります…
小さな傷が命取りになることもある 早く腕を出すんだ と、マスターは手を差し出す
【アルテミス】 それは命令ですか?
マスターとして命令するのは簡単だ でも、君が嫌がることはしないよ… これはお願いだ、とマスターは言う
【アルテミス】 …わかりました
見せてもらった傷は思ったより浅く、 跡も残らずに治りそうだった マスターは、よかった…と微笑む
【アルテミス】 ありがとう…ございます それと、先ほどは言い過ぎました
ううん、君が気にする必要はないよ と手当をしながらマスターは首を振る
君には君の考えがあるのに、自分の わがままを押し付けて申し訳なかった と、マスターは謝る
【アルテミス】 マスターは悪くありません… 私の問題なんです…
アルテミスは思いつめた表情で マスターの目を見つめる
【アルテミス】 私の背負った業は“色欲”… マスターを想うほど、 マスターに近づくのが怖いのです
【アルテミス】 彼女達の世界では、色相が濁る、と いうのでしょうか… 心の中で複雑な感情が暴れ出すのです
【アルテミス】 あなたに優しくされると、 任務に支障が出てしまいます… ですから、私には構わないでください
そう言って、アルテミスは 苦しそうな表情を見せる
これ以上彼女を苦しめることは できないと思い、マスターは 彼女の申し出を受け入れることにした
【アルテミス】 …ありがとうございます
アルテミスはほっとしたような、 しかしどこか悲しそうな表情を見せた
あれからマスターとアルテミスは 距離を保ち平穏な日々を過ごしていた
しかしある日、アルテミスのいない 任務でトラブルが発生し、 マスターが危険だという報告が届いた
【アルテミス】 くっ…!
気がつくと、アルテミスは マスターの元へと走り出していた
【アルテミス】 私が着くまで無事でいてください マスターに何かあったら…私は…
【異族】 グググギギッ!
マスターの隊は異族に囲まれていたが マスターは諦めず、必ず助けがくると キル姫達を励まし続ける
【異族】 グギギッ!
1体の異族がマスターに狙いを定め、 その腕を大きく振りあげた、その時…
【アルテミス】 マスター! ご無事ですか!? 返事をしてください!
アルテミス! と、マスターはありったけの声で その名前を呼ぶ
【アルテミス】 よかった… 今すぐ助けます!
アルテミスは鮮やかな戦いぶりで 異族の群れを片付けていく
【アルテミス】 …お前で最後だッ!
【アルテミス】 ハァハァ… マスター… それにみんなも、無事でよかった…
アルテミスはあっという間に キル姫達に囲まれて たくさんの感謝の言葉を受けた
【アルテミス】 あ、あの… そんな、大したことでは…
マスターもアルテミスに 頭を下げて感謝を伝えるが なんだか彼女の様子がおかしかった
【アルテミス】 その… 私の仕事をしたまで、ですので…
もしかしてアルテミスは 感謝されるのが苦手なのかな? と、マスターは問いかける
【アルテミス】 うっ…慣れていないんです 以前はキル姫を粛清する任務も多く、 感謝されることなどなかったので…
【アルテミス】 ですが、誰かを守って感謝されるのは 嬉しいものですね
そう言って、アルテミスは 優しく微笑んだ
いつものアルテミスは綺麗だけど 照れたり笑ったりすると可愛いんだね と、マスターもつられて微笑む
【アルテミス】 もう…からかわないでください!
ごめんね、だけど嬉しいんだ こんな風に君と話をしたかったから と、マスターは笑う
【アルテミス】 マスター… 以前のお願いを撤回させてください
【アルテミス】 マスターが危険だと聞いた瞬間、 私は激しい感情に襲われました
【アルテミス】 怒りや後悔、不安と悲しみ… すべては自身の弱さが招いた結果です
【アルテミス】 私は“色欲”の業に囚われるあまり、 本当に大事なものを見失っていました
【アルテミス】 私にとって何よりも大切なものは マスター…あなたです
【アルテミス】 私の業も、あなたの優しさも 恐れるのではなく 受け入れられるように努力します
【アルテミス】 ですから、これからもずっと あなたを守らせてくれますか?
すべてを受け入れると 覚悟を決めた彼女は、 新たな力に目覚める
【アルテミス】 『黒式・色欲射抜ク黒銃』 この力、あなただけに捧げます!
マスターの背後に迫る異族を正確に 撃ちぬき、アルテミスは 独り言のようにつぶやく
【アルテミス】 私はもっと強くなります… あなたを害するものすべてを 排除するために…
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