540011213 アルテミス 黒き執行官の糾弾
あれから数日後…
【アルテミス】 マスター… おはやいですね もうお目覚めですか?
【アルテミス】 マスター、昼食の時間ですね どうぞ、私に遠慮なさらずに 私は警護に務めますので…
アルテミスは朝から夕方まで マスターを警護する役割を 全力でこなしていた
【アルテミス】 マスター… それではおやすみなさいませ
しかし、夜だけはマスターの前から 姿を消してしまう 一度その理由を聞いてみたが…
【アルテミス】 …離れていても見守っています 安心してください
答えをはぐらかされてしまったので、 マスターもそれ以上は聞かなかった
【アルテミス】 ふわぁ… マ、マスター? …おはようございます
だが、翌朝に寝不足の顔で現れる アルテミスをひそかに心配し、 夜に何をしているのか気になっていた
ある夜、マスターは拠点を出る アルテミスを偶然見かけ、 こっそり後をつけてみることにした
【アルテミス】 はっ!
アルテミスは街から少し離れた所で 銃の特訓をしていただけだった マスターは安心して帰ろうとしたが…
【アルテミス】 マスター… 私も一緒に帰ります
アルテミスから声をかけられ、 バレてたんだね、とマスターは笑う しかしアルテミスは反応しない
【アルテミス】 …………
彼女は怒ったような、困ったような 表情で黙り込んでいた 二人は黙ったままで帰り道を歩く
【アルテミス】 では、おやすみなさいませ… また明日の朝に…
拠点につくと、アルテミスは そっけない挨拶をして 部屋に戻っていった
マスターは怒られても仕方ない、と 覚悟を決めて翌朝を待った
【アルテミス】 あ、マスター…
【アルテミス】 昨晩は失礼な態度を取って 申し訳ありませんでした…
ちょっと驚いたけど大丈夫 それよりアルテミスの方が心配だよ と、マスターは正直な気持ちを伝える
【アルテミス】 マスターは優しいですね… だから、私は怖いんです
【アルテミス】 すべてを受け入れる覚悟はしました ですが…私の“色欲”の業は あなたを傷つけるかもしれない…
【アルテミス】 そう思うと、胸が苦しくなります 夜は業の力が強くなるので、 マスターには近づけなかったんです
【アルテミス】 力を持て余す夜は特訓に没頭しました 苦しみは消えませんが、 時間は過ぎていきますから…
マスターは、アルテミスの苦しみを 知らずにいたことを謝り、 その手をそっと握る
【アルテミス】 え…?
背負った業もアルテミスの一部だ 自分も一緒にその重さを背負うよ と、マスターはその覚悟を告げる
そして、できることなら 君を苦しみから解放してあげたい そのためならなんでもする、と話す
【アルテミス】 マスター… ありがとうございます…
【アルテミス】 マスターの手は優しくて温かい… 触れていると、体が熱くなって 胸が高鳴っていく…
【アルテミス】 この感情は“色欲”ではない…? もしかして…これが…“愛”?
マスターの優しさに包まれ、 アルテミスの体の奥で 新たな力が目覚める
【アルテミス】 これは 『黒き執行官の糾弾』 あなたがくれた新しい強さです
【アルテミス】 私は、背負った業の重さが 強さになると信じていました
【アルテミス】 だからすべてを受け入れると決めた… それなのに、本心ではその先にある 見えないものを恐れていたのですね
【アルテミス】 ですが、今は信じています あなたならいつかきっと、私の業も 打ち払ってくれると…
【アルテミス】 あなたが一緒だから もう…なにも怖くはありません…
【アルテミス】 私はあなたの武器なのですから、 どうか片時も手離さないでくださいね
そう言ってアルテミスは 妖艶に微笑んだ
Next: 540013211