540013211 アルテミス・疑彩 遥か彼方の頂
朝が来た――
【アルテミス】 おはようございます
【アルテミス】 一日の流れは、 この朝に作り出すもの
【アルテミス】 つまり、今の時間こそが その日のあり方を決めるといっても、 過言ではないでしょう
彼女の名はアルテミス・ 擬彩(インテグラル)
マスターの元に入隊した 新しい姫だ
ある日の戦場では――
【アルテミス】 全ては理想の世界の為… いきましょう
疾風の如く、 駆け抜けてゆく
【アルテミス】 この地形、風向き…
【アルテミス】 あなたは右方向から攻めて 私は左方向から援護します!
【アルテミス】 はあっ!!
その作戦通り、見事に敵を撃破
【アルテミス】 理想の世界に、 また一つ近づけることが できました
自身の戦闘力も高く、 冷静に物事を分析・判断し 実行に移すことで、
司令塔的な立ち回りを することも多い彼女
だが……
【アルテミス】 祝勝会…?
【アルテミス】 なにを言っているのです? 今日の戦闘は、いつもより 苦戦を強いられました
【アルテミス】 すぐさま反省点を洗い出し、 陣形を修正
【アルテミス】 その後は、直ちに就寝 一日の疲れを取ってください
【アルテミス】 いいですね、皆さん
その真面目過ぎる性格から、 他の姫をとても厳しく律するため、 隊では少し浮いた存在となっていた
数日後――
【アルテミス】 はぁ…はぁ…!
外出したマスターは、 一人で特訓するアルテミスを見かける
お疲れ様、やっぱり君は真面目だね と、彼女に声を掛けるマスター
【アルテミス】 マ、マスター…
【アルテミス】 これくらい普通です
一瞬驚いた様子を見せたが、 すぐさま特訓に戻る彼女
マスターはもう少し近くで 見学しようとするが…
【アルテミス】 鍛錬中です 無闇に近づかないでください
と、制されてしまった
やむなく、その場から眺めるマスター
だが、あることに気づく
【アルテミス】 はぁ…はぁ…!
見学を始めてから1時間以上、 一切休憩を取らない彼女
それどころか、
【アルテミス】 はぁぁぁぁっ!!
特訓の激しさは増していくばかり
【アルテミス】 はぁ…はぁ…!
体力の限界を超えても 決してやめようとしない…
そんな常軌を逸した特訓に マスターは驚愕する
そこまでしなくても君は十分に強いし 常に冷静な精神を持っているし… 心配になり、声を掛けるも…
【アルテミス】 ……いいえ
【アルテミス】 理想の世界を創るためには、 これでも足りないくらいです
【アルテミス】 それに……
【アルテミス】 自分を律する為にも…、 もっと力がほしいのです
と言い放ち、 マスターには目もくれず、 ひたすら特訓に励むのだった
【アルテミス】 はぁ!はぁ!はぁ!
だがマスターは、 彼女の思い詰めたような表情が 気に掛かっていた
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